2005年03月12日(土) |
もはや覚えの無い感情 |
粉雪と酔いで、世界は銀色に霞んで見えた。
夜遅く、降り立った駅から足早に歩み出ると白く細かな氷の粒が風に流れてきて、僕のコートとマフラーをあっという間に銀に飾り立てて冷やしていく。 僕は寒い、と思う暇もなく意外と穏やかな風をコートに一杯にはらみながらタクシーの列へ向かって歩き出す。 雪は粉雪、さらさらと乾いた音を立てて髪に降り積もり、その音が聞こえるほど街は暗く静まる。 対向車もない道をタクシーは滑るように走る。
家の少し手前、止まった車から降りて雪の中を歩く。 空には星、風は背後から僕を包む。
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何だろう、この罪悪感は幻想的だ。
言うに言われぬ恋のように切なく僕を抱き締める
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