あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2005年11月11日(金) leave




そうして時々
あのひとは僕の扉を揺らす
外に
居るのだという気配だけ残して
去る
決して
どんな名前でもあのひとは僕を呼ばず
呼びかける言葉を持たぬので
その
息遣いだけで 濃く
居るのだという気配だけ残して
居なく
なって しまう



僕の 名前は すおう と いいます
 僕の 名前は まこと と いいます
  私の 名前は     と いいます
   僕の 名前は      と いいます
    私の 名前は     と いいます

自己紹介を続け
もう
人格は名に宿り
呼ばれることすら 慣れて
しまったけれど
あのひとの 声は
呼ぶべき僕の名を知らず
その名があることすら きっと
心から否定 して
しまったのだろうけど



だから僕は
この
こころが
あのひとを思うことすら いつか
名も呼ばれぬかなしみの前に
押し殺されて
少しずつ無機質なものになってゆくのを
諦めてみたりする

ただ
それが
呼ばれない名を待つだけの待ち焦がれるだけのことであるのを
時々
あのひと が
扉の向こうに居るのだという気配だけ残して消えるたびに
僕は
貪られるように確認して
いたり
する











↑そういう雨の夜とか。

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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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