あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年01月02日(月) 訣別の日






眠る間際まで書けない手紙のことを考えていた。
何ひとつ決定的にしたくなかったようだ。
ひとに、会いにいく。
そのためにゆっくりとした電車に乗り、すべての駅をやり過ごして終点へ行った。
ことば、を、こころが拒否する感触。
何も手に取らず、目を瞑った。


地下から曇り空の下へ出ると、向かいの歩道をひとがよぎったように思った。
こころ、なしか、だけど確かめることもせず風の中に立ち止まっていた。
ただ ひと に 会いたい と想うこと。
そういう感触が随分久しぶりで。
胸がぎゅうっとなった。
永遠に来なければいいと思った。
ひとを、待ち続けるこの一瞬がずっと続けばいいと。
風が何度も髪を乱した。
会いたかった。
でも会えなければいいと思った。
「もう会わない」と。言うくらいなら。


だけどどんなにどんなに考えても、それ以上に良い道なんてどこにもないのが分かっていた。



不思議そうに僕を見る顔を、毅然とした顔で、見返したつもり、で。
つめたい顔をしたかもしれない。
でももう後戻りはできなかったから。

あいして います よ


ひとのなかにあるものを信じられなくなってから、もう何年経っただろう。
会えば求めるのに体を重ねると哀しかった。
死にそうなほど。
罪悪感は消えそうになかった。





5年か、10年か、いつまでかわからないけど。
いつか遠い日に、ひとに会えたらいい。



それまで、このこころのなかのうつくしい場所は埋まったままで居ればいい。









↑失くしてなお、泣くことができないなら

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濃く甘ったるい酒と、見果てぬ夢のような甘さの煙草。
店を出ると細く猫の爪痕のような月。
今夜見る夢もまた、ひとのものだとおもう





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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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