激しいにわか雨に見舞われ、しばし雨宿り。雨が止んで蝉が鳴きだし外の気温がぐっとあがっても、畳の部屋は涼しいままだった。墨を動かすと伝わってくる硯の表面の感覚、蝉の声と池からする水音、眩しい日差しと薄暗い部屋、なにもかもが夏で、うつくしくしずかな午後だった。