2017年05月02日(火) |
垣谷美雨『あなたの人生、片づけます』★★★☆☆ |
垣谷美雨『あなたの人生、片づけます』
かたづけの仕事をしているプロが、様々なお宅に伺い、空間のみならず、生き方も整えるお手伝いをする、という小説。
クライアントの気持ちになってみたり、プロの気持ちになってみたり、どちらの立場でもとても面白く読めました。
心に残ったところ。
「他人に部屋を見せるというのは、自分の内面までさらけ出しているも同然だった。」(p17)
「電話を切った。 怒りを発散しなくちゃ。綾子なんかに腹を立てる時間がもったいない。そんな暇があった冷蔵庫の中をきれいにしよう。」(p94)
「もっと丁寧に生活しよう。 送信ボタンを押したとき、唐突にそう思った。 生活そのものを楽しもう。 もう誰にも振り回されずに生きていこう。」(p95)
「赤いベネチアングラスの花瓶は、これからも大切に使っていこう。ついこの間までは捨てようと思っていた。見るたび悟史のことを思い出してつらくなったからだ。だけど今は違う。そう遠くない日に悟史を思い出すこともなくなり、別の楽しい思い出を作っていける予感がする。 きれいなリビングで丁寧に淹れた紅茶を飲む。 誰のためでもない、自分のために。 ひとりでゆったりと寛げる大人の女になる。 そう心に決めてぱっと目を開けたとき、開け放った窓から新鮮な風が吹き込んできた。」(p95)
人生をととのえるかたづけ。
いいな!
垣谷美雨『あなたの人生、片づけます』
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