短いのはお好き?
DiaryINDEX|past|will
ぼくと由香は 天王洲アイルのモスから出ると モノレールを使わずに 歩いて大井町まで行くことにした
やけに真っ青で頑丈そうな橋梁の 品川埠頭橋を渡って 左に火力発電所のスクエアな煙突 なんかをみながら 道なりにゆっくりと歩いてゆく
再び橋を渡ると 左にまたも発電所 さっきのは品川火力発電所 今度は大井火力発電所
そこから階段を降りて 運河沿いに細長く走る緑道公園に入った 老若男女の太公望たちが 運河に向かって釣り糸を垂れている
その平和な光景にぼくらは どちらからともなく 微笑んでいた
けれども実際は あまりにも残酷な光景なのだ 残酷過ぎて吐き気すら覚える
あと数時間で人類は滅びるなどと 誰が信じるというのだろう 今更声高に真実を叫んだところで なんにもなりはしない
ぼくらはやるだけのことは やったのだから ずっと真実を世に知らしめようと そこらじゅうの掲示板という掲示板 に書きまくったのに
挙句の果てには 狂人扱いされて終り…だった
そんなことよりも ぼくらはいま 残された最期のひと時を 貪るように 愉しまなくては
しかしなぁ とぼくは思う 最期の最期に ヒトが考えることって やっぱりこれなのか
ぼくと由香は種族保存の 行為のために ちんけなラブホへと 向う予定なのだ キリストも馬小屋で産まれたって いうしさ(あんま関係ないか)
それからぼくらは お花畑で最期のときを 迎えるつもり 富士山も見えるしさ
ちっぽけな幸せよ さようなら
|