短いのはお好き? DiaryINDEX|past|will
![]() 確かに少女はそこで死んでいた。 しかし、なぜまたおれは彼女を発見したのだろう。 第一発見者ってやつ? まぁ、そんなことどうだっていいか。 大切なのは、この満天の星のもと、この美少女とふたりっきりで星を眺められるってことだ。 おれもごろんとアスファルトの上に横になる。 夏の陽光をスポンジのように吸い込んだアスファルト。まるでフライパンで焼かれているような気分だ。 「さぁ、そろそろはじめようーぜ。カワイコちゃん」 おれはそういって、ゆっくりと彼女の胸に手を伸ばす。 「やめて!」 「へへへ。そうこなくっちゃ」 「なに? あなたなんなの? 私の声が聞こえるの?」 「ん〜。どうでしょう」 「ふざけないで。それに全然似てないし。どうでもいいけど、とにかくひとりにしといてくんない?」 「んな冷たいこというなって。こうして遇えたのもさ、なんかの縁だからさ。ほら一期一会っていうじゃん」 「なにそれ」 「あ。ごめん。おれの悪い癖なんだ。すぐにさ、教養をひけらかしちゃうってやつ?」 「バーカ」 そう言う彼女の横顔を盗み見る。 たまんなく可愛い。 ふるえるほどキュートだ。 死んでることを除けばだけど。 「さてと。じゃ、話しを聞かせてよ」 「はい?」 「なんで、きみは自殺なんかしたの」 「……」 「つらいことばっかりだったんだろ?」 「バカじゃん?」 「へ?」 「自殺なんかしてないし」 「あぁ。ごめんごめん。ストレート過ぎたね」 「そういんじゃなくって。あんたマジに頭おかしいんだ」 「それは、褒め言葉ととっていいのかな?」 「だ・か・ら、もううっせーんだよ、ほっとけ」 「ほっとけるかよ、こんな美少女をさ」 「エロじじぃ、失せろ」 「う。お人形さんみたいな可愛い顔してるのに、ひどいこというんだね」 「だって、人形だもん」 「ははは。言うにことかいて何いってんだか」 足許の崖のほうから、生温い風がアスファルトを這うようにして吹きあがってくる。 彼女の制服のスカートがめくれて、太腿が露わになった。 目が釘付けになる。 「ほら、エロじじぃじゃん」 「ほんとだ」 白いガードレール。 アスファルトには、打ち捨てられた女子高生の精巧な一体のフィギュア。 その横で男は息絶えていた。
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