女達は口々に「その男」の事を話す。 「綺麗」だの「印象的な目」だの「美人」だとか「喧嘩を売られ易くて生傷が多い」だの「怖いけど本当は優しい所がある」だの。 etc...なんなんだ、一体。 自分が店を離れて一週間も立たぬ内に、店の女達は「その男」の事で頭が一杯。まともに仕事ができているかも妖しいぐらいだ。 これではこの街一番の評判が落ちてしまいそうだ、と千石は思った。 彼が経営している女郎館は、ここ一年で街一番となるほどの評判をよんでいる。先日、新たな女を買いに店を空けたのだが、その間に来た新規の客のなかに風変わりな男がいたらしく、「その男」の事で皆の話はもちきりだった。 「…何、今日も来るの?」 「ええ、来ると仰ってましたよ…多分そろそろだと…あ、」 女の視線を追うと、玄関先に一人の男がやってきていた。 黒い着物を纏い、刀でとんとん、と自分の右肩を叩いている。 なかなかの長身で全体的に細く、すらっとしている。そして着物の裾から少し覗く肌は男にしては白かった。 しかし微塵も女々しくはなく、強い光をもつ鋭い目がやけに印象的で、背筋がゾクリとする。 千石はつまらなそうにこちらに目を向けたその男ににっこりと微笑む。 「いらっしゃい、最近通ってくれてるんですって?」 「……誰だ」 「ぁあ、これは失礼、主人の千石と言います…ええと、」 「…亜久津だ」 「亜久津、様。どのような子がお好みで?本日は新入りもいますよ?」 「…適当に、空いている者でいい」 「おや、目当ての者は?」 「おらん、誰でもいい」 思ったよりも中性的な声の調子だ。 しかし彼は何か、全てが珍しい。 姿も言う事も全て、なにかがひっかかる。 興味を抱くにはそれで十分だったが、千石はとりあえず誰か空いている者を呼ばせ、相手をさせた。 「ねぇ、千石さん、綺麗なひとでしょう?」 「…そうだね、男なのに何だか俺でもドキリとするよ、何か綺麗だ」 + 千石と亜久津のパラレルを書きたくて。 むしろ読みたいだけです。 別にカップリングでなくてもいいです。 つか…なんか記憶があやふやなのに書いたので間違っている所が多々有りそうです。(死ね) 大体私が妙な時代設定でかこうとするから悪いのだ。(時代の事を調べろ、猫田よ) これを土佐弁でやろうかな、とか思ってみたり。 時代背景とか考えて無いので考えて調べてから書きたいとおもう。
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