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2007年06月25日(月) ■ |
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生きていくお前(7) |
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どびんぼなので 野菜ひとつとってみたって スーパーなんかで買いたくない ちょっとくらい遠くたって 白い荷台軽トラックの 道路にダンボールのお店をひろげた おじさんのところまで買いに行く
『まいど。えーと、にんじん きゃべつに、だいこん、 いちごポッキー。合わせて280円ね ま。いいや。200円で』
いやはや、とんでもござんせん それではとっても申し訳ない 200と5円 おじさんの手にのっけてね
おたがいに 苦笑い
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2007年06月18日(月) ■ |
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休日は二日 |
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友達の結婚式の帰り ドレスとスーツの 詰め込み模様のその帰り ビールだけで酔っ払ったよ ビリヤードでもするみたいに 女の子と抱き合っていた 外にはあんなにひとがいたのに そこにはぼくがいなかった T字路でクルマが立ち往生していた
扉から天井の隅まで 電球達は行ったり来たり 三枚目のカガミの裏にある 隠しカメラも調子良く回った 外にはあんなにひとがいたのに そこにはぼくがいなかったから 女の子はイライラしはじめていた 代わりに冷蔵庫が立っていた まっしろな肩が宙返りしていた
新郎新婦が頬を染めて 飛行機に乗り込むと 日付は雨の混じった月曜日に変わる あんまりイライラするうちに ギザギザになった女の子のからだ ぼくのからだを半分にした そこにぼくはぶらぶらとやってきた パーティ会場に置き忘れた 腕時計を指で叩きながら
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2007年06月11日(月) ■ |
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近未来 |
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甥っこも もう3歳になり 赤ちゃんのお兄さんになり 体重は10キロをこえ、でも たかーくもちあげて ふりまわしてもらうのが大好きで
飛べないよ 飛べないよお?
うでをひろげてみせて しきりにおねだり
こどものころに思い描いていた おとなになったじぶんといえば 空を飛べるヒーローで ねんしゅうひゃくおくまんえん そんなヒーローは遠くに飛んでいって もう見えなくなってしまったけれど せめて体だけは 鍛え続けていかねばと ぜえぜえ息をきらしていると
こんどはわたくしの手を けんめいにおもそうにひっぱって どこかへ つれていこうとする
こっちだよ こっちだよ
つなごうにも どうにぎっていいか わからないくらいの
それでもまだまだ ちいさな手
ついこのあいだまで ベビーカーのうえで ふんぞりかえってたくせにさー
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2007年06月04日(月) ■ |
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「放課後時代」 |
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「体育館覗ける窓際で 新しいお菓子に手紙交換 好きだった場所はコンビニと ストーブのある部屋 」
倉橋ヨエコ 「放課後時代」 アルバム 「思う壷」 から
欲求を満たしたいだけなら ひとりでしてなさい人形とでもしてなさい オンナの体を知ろうとしない奴に オンナに触れる資格はないのよ
叱られたうえに アタマまで撫でられたそのあとで とりあえず誰もいない校舎から 屋上にあがってみたりして
そして以前とはあたりまえに 変わらない風景を眺めたあとで ぼくはまた学校へ 戻ることに決めたのだ
はるか年上のひとの事なんか ちっとも関係なかったくせに まだ大人になることばかり かんがえていた頃
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