妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2008年01月31日(木) 『でかした、ジーヴス!』(小)

【P・G・ウッドハウス 訳:森村たまき 国書刊行会】

めでたく漫画化するらしい、このシリーズ。
毎回あとがきで、今回で終わりの予定でしたが・・・と書かれていて、毎回ひやひやと次回作の刊行を待っている身としては、これで少しは安心できるかと。

最後の短編集ということでいささか寂しく思いますが、粒ぞろいな11篇が収録。
全体を通して、あまりバーティの服装のことでもめなくなったのは、ジーヴスの根気強いしつけ(?)のおかげなのか。

相変わらずの面々が相変わらずの騒動を繰り広げています。
久しぶりにバーティが恋してみたはいいけど、毎度ながらジーヴスに却下されたり、アガサ伯母さんと戦ってみたり、白鳥に追い回されたり、キチガイ扱いされたり・・・
バーティはこのまま結婚できないのでしょうか。
ジーヴスのお眼鏡にかなう女性って一体・・・!

今回の森村訳、ややテンパっていたような気が。
いつもがんばってます感が漂ってはいるけども。
基本的に森村訳は、一生懸命さが微笑ましくて好きではありますが。


2008年01月28日(月) 『闇の守り人』(小)

【上橋菜穂子 新潮文庫】

バルサ故郷に帰る編です。
いや、いい話しだなぁと終始思ってました。
あとがきによると、精霊は子どもに人気で、闇のは大人に人気なんだそうで、納得。

私は主人公の心理描写がしつこいくらいこてこてしてるのが好きなので、今回、バルサの心のうちが見えてよかったです。
決してこてこて描写はされていませんけれども、充分かと。
闇の守り人の正体は途中で察しがつくけれど、最後のシーンは感動的。

十代、二十代のまだ、怒りや恨みに身を焦がしていたであろうバルサとか、タンダとの出会いとか、若いジグロとかの話しを読んでみたいなぁ。


2008年01月26日(土) 『精霊の守り人』(小)

【上橋菜穂子 新潮文庫】

このシリーズが10年以上前に書かれていたことにびっくり。
そんな前からやってたのか。
最近になって名前をよく聞くようになったのは、アニメ化と文庫化のおかげなのでしょうか。

言われつくしているとは思うのですが、文化人類学者である作者の描く世界観の確固としたこと。
ファンタジーって、その世界にちょっとでも現実的な疑問を抱いてしまった時点でのめりこめなくなるものなので素晴らしいことです。

主人公が女用心棒(30)というのが異色です。

いささか朴訥とした語り口に感じた前半、後半はだいぶ滑らかになってたので、以降のシリーズはもっとよくなってることが期待できます。

キャラクターに派手さはないのですが、あたたかみのある話しで、今後バルサがどんな人を守ることになるのか楽しみです。


2008年01月24日(木) 『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(映)『鈴木先生 3・4』(漫)

【監督:ティム・バートン アメリカ】

ティム・バートンとジョニー・デップの映画。

以上!

あ、駄目ですかそれだけじゃ。
いや、なんか、予想を上回ることも下回ることもない、面白いし完成度も高かったんだけど、なんだろな。
特別不満もないのだけど。
意外とジョニーの印象が薄かったなぁ。これは少数派かもしれませんが。
女性陣がかわいかったなー。

判事はこの人誰だっけーと思いながら、半分くらいで、この低音はスネイプ先生!!と気づいてからは、なんか憎めませんでした。
ちょっと可愛くすら思いました。

+++++++++
【武富健治 双葉社アクションコミックス】

小川さん問題に一応終止符。
女の目から見るとなぜそこまで神聖視するんだ、と思ったりもしますが、そういう意見に関しては2巻ですでに言及されているので、わかったうえでの描写なんだよなー。
でも4巻での小川さんのセリフははっとする。
「大人から見ていいなって思える中学生をやるから」
って、どういう気持ちで言ってるのかな。
小川さん、深いよな。その存在が。

どのキャラもこう、と一言で言えない奥行きがあって凄いです。
中村さんもめきめき成長してるし。

一番、底が知れないのが鈴木先生なんですが。
今のところ、正解というか、そう導くのがひとつの方法なのだろう、というところに行き着いていますが、今後も鈴木先生が間違わない、踏み外さないというようなことは信じられない。
というか、信じさせない、ちょっと危うさがあって、そこがこの漫画のなんともはらはらするところなのかもしれません。

足子先生の目がトーンなのがもうずっと怖いんです・・・。


2008年01月22日(火) 『The MANZAI4』(小)『鈴木先生 1・2』(漫)

【あさのあつこ ジャイブピュアフル文庫】

歩が書いた日記についての先生のコメントにショックを受けたエピソードが、身につまされるなあと。

歩の片思いにも一応の決着がついて、そのうち、秋本くんサイドの話しも読んでみたいですね。

+++++++++
【武富健治 双葉社アクションコミックス】

ず〜っと気になりつつも、表紙絵がなんか怖いし、学校物はさほど好きではないし、と悩んでいたのですが、読むと印象が全然違うな。

高校かと思いきや、中学校が舞台。
新米教師というわけでもなく、生徒に人気の鈴木先生。
あ、そういうのって珍しいな。そういえば。

すっごい不良がでてくるわけでもなく、かといって簡単でもない問題が起こるのだけれど、教室のみの問題でとらえず、鈴木先生の私生活も交え、鈴木先生の私的葛藤も加わりつつ、鈴木先生ならではの解法が提示される。

説明しがたいな。この雰囲気は。
おもしろいことは確かです。
小川問題はどうなっちゃうのか、気にかかりつつ、ループタイって一体・・・とそのセンスが天然なのか計算なのかわからない作者に翻弄されつつ、続きを読みたいところ。


2008年01月21日(月) 『江戸川乱歩傑作選』『�癸供。供戞幣�)

【江戸川乱歩 新潮文庫】

ちょっと前になるのですが、映画の『乱歩地獄』を観まして、原作ってどんなだっけ?と思い読みました。
全然違うじゃないか。

「二銭銅貨」
そもそも、銅貨ってのがどんな形のものか知らないなぁと思いつつ読みました。
二段オチは乱歩短編ではよくある展開だけど、銅貨はどこで入手したのかそんなこと言われたらちょっと気になるじゃないか。

「二廃人」
陰惨な話しなのに妙にさっぱり終わるあたりも乱歩らしい。

「D坂の殺人事件」
やたらタイトルが有名だけど、中身はけっこう地味です。
明智先生もまだ無名で、ぼさぼさしてますし。

「心理試験」
推理小説らしいおもしろさがある話しだと思います。

「赤い部屋」
悪夢的おどろおどろしさがラストにぱっと消え去ると、安堵よりもどこか寂しさすら感じさせるところが偉大だよな。

「屋根裏の散歩者」
死ぬほど有名ですが、新築の下宿だったのだなぁ。これ。

「人間椅子」
肩すかしのオチのようでもあり、実際の所どうなんだという不安も残る話しです。

「鏡地獄」
映画と全然違う話で驚く。球形の中で何が見えるのか、非常に気になるのですが、実際に作れるものなのだろうか。

「芋虫」
悲しくって醜悪でエロチック。収録作品の中では一番好き。

+++++++++
【あさのあつこ 講談社YA!ENTERTAINMENT】

NO.6の成り立ち、ネズミの生い立ちが明かされる6巻です。
・・・この話しってそういえば、そういう世界観だったな。
ちょっと忘れてました。
次から話しが大きく動きそうな気配です。


2008年01月18日(金) 『金融腐食列島 下』(小)

【高杉良 角川文庫】

上巻に引き続き、共感も感情移入も出来ず、ついでに実感もあまりわかず、嫌な奴ばかりだなぁと思いながら読み終わりました。

高杉良の記者としての経験と取材の成果は存分に出ていて、リアルではあるのだろうし、非常に実情に近いのだろうなぁとは思うのですが、それが小説の魅力や面白さかと言われると考えてしまう。
まぁしかし、この時代のこの業界をリアルに描こうと思ったらこういう、煮え切らない話しになるしかなく、ヒーロー不在の話しとしてしか書けないし、そこが面白さと言うと何か違うけれど、読みどころなのだろうなぁということはわかりました。
佐高信の解説でおぼろげに察しました。

主人公の竹中にしたって、別に特別情に篤いわけでも、才気走っているわけでも、なにか特別なものがあるわけでもないし、性格も普通だと思うのだけど、その普通こそが稀有であるということに驚く。

このシリーズは竹中が主人公として定着してくる、続編の方がおもしろくなってきてそうな予感はします。
これはバブル崩壊間もなくが舞台ですが、それよりも数年先に進んだ社会をどう書いているのかも興味がなくはない。
だが、読んでいて楽しくはない。


2008年01月17日(木) 『魔界都市ブルース 幻舞の章』(小)

【菊地秀行 祥伝社ノベルス】

なんと、挿絵が小畑健。
小畑先生のせつらは前にも見たことあるけど嬉しいな〜。
でも、ゴス色がなかった頃に描いて欲しかったな〜・・・。
ついでに漫画化もしてくれませんか・・・

でも、それでも、これだけ麗しくても、まだ足りないそれでも足りない、せつらやメフィストの美しさったら。
活字って凄いなぁ。
末弥純のぼうっとした絵がやっぱりいいのかも。

あとがきで、菊地先生が短編のせつらの方が好きと言っていましたが、私もブルースの方が好きだ。

「復活祭」
メフィストと夜香がせつらを追うという話しですが、なんともかわいいというかおかしいコンビです。
いやーもー、せつらのこととなるとどうしてそう、おっかしいのかな、メフィストは。
ぜーったい叶わぬ恋なあたりが気の毒やらなにやら。

「帰りて、後」
せつらが珍しく女性に執心か?という話し。
屍刑事がちょろちょろと出てくるけど、凍らせ屋の時と全然雰囲気が違うと思う。
あと、せつらは妙に屍さんに対して色仕掛けをしたがるのは、あれは遊んでるんだろうなぁ。

「セルロイドの涙」
人形娘はほんっとに健気で健気で。

その他もイラスト文章ともども楽しませていただきました。


2008年01月16日(水) 『<魔界刑事>凍らせ屋II』『牙迷宮 魔界都市ガイド鬼録』(小)

【菊地秀行 光文社文庫】

一巻を読んでからだい〜ぶ経ちますが、ま、あまり関係ないよね。
前後の流れとか伏線とか忘れてても問題なしなし、というのが菊地小説への私的イメージ。
読みながら、鬼顔刑事は、レギュラーにいなかったけどどうなのかな〜とか、シャーリーもレギュラーキャラじゃないよなぁ、とか思っていたけど、そうなりますか。

朽葉刑事が主役の話は書いていただけないのだろうか。
好きなんだけどな〜。
地味すぎますか。
最近、メフィストの方にも出てこないしなぁ。
屍さんもそりゃ、かっこいいですけども。

あんなにエロでバイオレンスなのに終わり方の哀愁はさすがです。好きだな。

******
【菊地秀行 光文社文庫】

魔界都市シリーズの新主人公はガイド。
キャラ的にはあまりぴんとこないキャラなのですが、今後いろいろな側面が見えてくるかな、と。
見えてきたらいいな、と。
一作目にして、地下がメインって・・・。
ガイドの話のせいなのか、やたら女子率が高かった。
珍しいなぁ。

今後の魔界都市ガイドを楽しみにしてます。


2008年01月13日(日) 『名探偵木更津悠也』(小)

【光文社文庫 麻耶雄嵩】

奥付が地味に誤植で気になる。
(摩耶になってる)
で、初出一覧を見て、「交換殺人」を実は以前に読んでいたことに気がつきました。
いやぁ、読んでいる間はぜんっぜん思い出さなかったなぁ。

タイトルを見ての通り、木更津&香月コンビの短編集です。
久しぶりの麻耶ですが、やっぱり好きだなぁ。
これほどワトソン役というものの既存イメージを逆手に取った設定もない。
ワトソン訳が、方向違いの意見で探偵の発想の転換を促すのが故意だったら、探偵よりも先に真相に行き当たっていたら、事件を誘導していたら・・・。
ミステリとしての内容どうのよりも、この探偵と助手の関係性にいちいち、うなる。
探偵と助手というものを記号的にしかとらえてなかったので、そういう使い方もあるのかぁと。

香月が読者を欺くわけではないのだけれど、従来のワトソン役のように読者にとって親しい距離にいるわけではなく、事件のかなり序盤で真相に至っていてそれでもなお、木更津の名探偵ぶりが見たいという理由で(解説によると名探偵萌えだから。なるほど)自ら真相を語ることは絶対にないという、いささか上から目線の立場で事件を語るのがすっごい嫌な感じで、好きです。

木更津はそんな腹黒に気づいていないのかと思えば、最後の最後でそこまで無能じゃないというところをにおわせてみたりする。
いったい木更津は香月のことをどう思っているのか考えると、かなり憂鬱な関係ですね。この人たち。

麻耶氏がこの先どんな探偵と助手を見せてくれるのか楽しみです。


2008年01月11日(金) 『チーム・バチスタの栄光 下』(小)

【海堂尊 宝島社文庫】

私はこのミスをあてにしたこともなければ、このミス大賞を気にかけたこともなかったので、本書も全く期待感を持たず読んでいたのですが、いや、なんでも読んでみないとわからないものですねぇ。
毎回そう思いながらもついつい、読まず嫌いしてしまう。

上巻を読んだときはなにも上下にわけなくってもと思ったのですが、分けたことによって思わぬ効果があったように感じました。
田口の印象が、ずいぶんと変わったんですよねぇ。白鳥と会う前と会った後で。
そうか、これが白鳥の言うパッシヴ・フェーズとアクティブ・フェーズ?とすら思いました。
その辺の印象の変化も計算だとしたらすごいなぁ。

上巻のとき、田口だけでもけっこう優秀な印象があったので、はたしてここに変人の名探偵役という使い古された定番キャラを投入する必要はあるのだろうか、と危ぶんでいたのですが、白鳥というキャラは絶妙な相性ですね。田口と。
なんとなく、伊良部(奥田英朗の)めいたのが出てくるのを想定してたのですが、伊良部よりちゃんとしてる。
解説では、伊良部をさらに強烈にしたキャラ、あるいは上田次郎(トリックの)を苛烈にしたキャラと紹介されているけれど、破天荒ながらどこか地に足の着いた印象を受ける。
たぶん、最後の田口へあてた手紙の文面の印象がすごく強かったんだと思います。

ミステリ的にはひょっとしたら犯人像あたりに不満を覚える人もいるかもしれないですが、十分に面白い小説でした。
しかしこれ、シリーズとしては今後どうなってるんでしょうか。
田口の病院でそうそういつも事件が起こっては困るし。

映画はさて、どうなってるんでしょうね。
あのキャストは・・・どうなのかなぁ。桐生先生と鳴海先生義兄弟がすごい濃いキャストなんですけど・・・。


2008年01月10日(木) 『チーム・バチスタの栄光 上』(小)

【海堂尊 宝島社文庫】

映画公開に先駆けて読んでみました。
非常に読みやすいので、なんで上下巻にしちゃったかなぁと。
ここは一気に読みたいところ。

現役医師が書いたとは思えない読みやすさ。
褒めてます。
主人公を医者ながら外科音痴にしたことで、読者にもわかりやすくなってます。
比喩表現がなんとなくしっくりこない、的外れな印象が常についてまわるのが気になりますが、愛嬌ですかね。これも。
文章がちょっとくどいような気もするし。
でも内容自体には好印象を持ってるので許容範囲内ですが。

上巻の時点では、まだ白鳥が登場しないので、後半がどうなるか期待しつつ先を急ぎたいと思います。


2008年01月09日(水) 『金融腐食列島 上』(小)『ミムラの絵本日和』(他)

【高杉良 角川文庫】

経済物にちょっと強くなりたいと思い、経済物といえば、高杉良だろう、というか高杉良しか知らないので、ひとまず読み始めてみました。
読んで、あぁ『ハゲタカ』って読みやすかったんだなぁと思いました。
文章が読みにくいわけではないのですが、まぁさっぱり書いていることがぴんとこない。
小説のせいではないので、一方的に私の政経の知識の乏しさのせいに他なりませんが。
そんな私でも、その腐食っぷりはよくよく伝わってきて、暗澹・・・というか腹立ってきた。

++++++++++++
【ミムラ 白泉社】

女優のミムラちゃんの絵本コラム集です。
私は絵本はくわしくないので、ほとんど知らない絵本とか、知ってても読んだことがない絵本だったのですが、読みたくなる紹介文です。
紹介というよりも、その絵本の思い出、思い入れが主な内容ですが、それがかわいらしくて的確な言葉で綴られてます。
いえ、私がミムラちゃんファンだから言うわけじゃないのですが。
そりゃ、収録されてる写真見て、かわいいなーかわいいなーとは思ってますが。

絵本が読みたくなる一冊です。


2008年01月07日(月) 『てのひらの闇』(小)

あけましておめでとうございます。
今年の目標は月最低10冊読破です。頑張って早速いきたいと思います。

【藤原伊織 文春文庫】

昨年、亡くなられたのが本当に惜しまれます。
改めて著作を眺めて、その寡作さが残念でなりません。
本書も読みながら、面白いなぁ好きだなぁと思うと同時に、もう読める作品がいくつもないことを思い出しては悲しくなって、どうにも読んでいる間やり切れませんでした。

さて、内容の話しですが。
冴えないサラリーマンを主人公にした企業物なのかな、と思わせておいて、全く違う展開を見せるのは毎度ながら鮮やかなお手並み。
ぜんっぜん、平凡でも冴えなくもない主人公のあれそれに、驚きつつ、周囲のキャラクターたちも素敵です。
私は藤原作品のインテリヤクザと、主人公と同期とか気の合う会社の同僚(優秀で優等生)というキャラクターがとても好きです。
もちろんのらくらした主人公も好きです。

とにかくイオリンの小説が好きだなぁとしみじみと切なく思いました。

以下ちょっとネタバレ。

終盤で、まさかのヤクザ×経済学者の事実に、えぇぇえっ!?となりました。
さすがイオリンです。
もはや脱帽です。
『ひまわりの祝祭』の原田氏といい、まったく驚く。

ひたすら惜しまれる方です。



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