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2010年04月09日(金) 世界との「差」を痛感

日本代表がまた、酷い試合をした。対戦相手は強豪国セルビアだが、国内組の「2軍」である。日本も国内組だが、W杯のために敢えて「国内」を選んだ選手が2人いる。W杯本番前の国内最後の国際試合、しかも、ホームの親善試合だけに、サポーターのためにも圧勝したかった。ところが、結果は0−3の惨敗。「岡田ジャパン」の弱さばかりが目に付いた試合内容だった。筆者は、日本代表のこの惨敗に大きなショックを受けた。それは南アフリカで開かれるW杯とまったく関係のない観点においてであった。

一般には、このセルビア戦がもつ意味を、�/契鑪呂糧�掘、��控え選手の能力の見極め、�3徳�手の異なるポジションの適正度の見極め・・・といった事項に整理していた。たとえば、残り10分のスーパーサブ(FW)をだれにするかであるとか、闘莉王、中澤のどちらかが欠場した場合の代替選手(CB)を見極めるとか、二列目、トップ下、ボランチの組み合わせをどのようにするか・・・などが想定された。代表監督の頭の中に描かれたレギュラー(海外組中心)のうち、だれかが何らかの事情で欠場せざるを得なくなった場合、代表監督は、最上の選択をしなければならない。

しかし、この試合が経過するうち、セルビアと日本のサッカーのレベルに、驚くべき差異があることが明らかになってきた。日本代表の首脳陣及び日本のサッカー関係者がこの試合に設定したアジェンダは、まったくの観念論であった。結論を言えば、この試合を通じて日本代表が得られた成果は何もない。課題、試行、テスト・・・というのは、相手とほぼ同程度の実力があって初めて成立するものなのだ。幕下の実力の者が、大関・横綱を攻略する作戦を立てても無駄。ましてや、人前(マスコミを使って)で、目標は大関・横綱である・・・なんてのたまえば、失笑を買うのがおちというもの。幕下は、まず、十両に上がることが適正な目標なのだ。

わかりやすくいえば、W杯で日本が勝てる欧州の代表チームは1つもない。であるから、筆者が繰り返して言うように、予選リーグで勝ち点3をあげるためには、カメルーン戦に全力投球をすることである。作戦は何もない。敢えて言えば、「喧嘩サッカー」を挑むこと。攻撃面でいえば、カメルーンのDFに渉り合える可能性の高いFWとして、佐藤(広島)を起用することである。ACL(グループH)にいて、広島が1−0でアデレード・ユナイテッドに勝った試合、佐藤は大柄の重心の高いアデレードDFにゴール近くで競り勝っていた。佐藤のように俊敏で下半身が安定しているFWは、カメルーンDFに対して、機動性において上回ることができるし、チャンスをつくりだせる。佐藤こそが、最終兵器なのだ。

さて、セルビア戦、岡田代表監督は、代表(FW)にJリーグで実績のない学生選手を招集した。このことは、代表監督が自国のトップリーグをまったく信用していない証拠である。若い選手を呼ぶことが悪いとは言わないが、試合に出すつもりのない選手を話題づくりのために招集することは間違っている。ちなみに、この試合の先発FW(岡崎・興梠)はまったく仕事をしていない。

岡田代表監督には、W杯グループリーグで勝ち点3を上げるための具体策がない。代表選手選考に基準がない。グループリーグで戦う相手3カ国の弱点を突くために、だれを呼び、どのような動き方を指示するのか。そのような「言葉」がないから、“思いつき”ばかりの選手選考になってしまい、選手が混乱するし、モチベーションの低下を招く。

岡田代表監督の「つまらなさ」は、サッカーを表現する「言葉」の欠如に起因する。就任当初、彼はラグビーの基本概念をサッカーに応用した、独自のサッカー観を披瀝した。が、いまや、その概念は雲散霧消している。そればかりではない。突然、「ベスト4」を目標としてあげたかと思えば、その目標の愚かさを自己証明するかのように、ふがいない試合を続けた。「普通の国」ならば、ここまで代表が痛んできたら、代表監督を更迭するのが一般的であるが、岡田更迭は見送られ、しかも、そのことに対する協会からの説明はない。

そうこうしているうちに、日本サッカー全体が世界から取り残され、アジアにおいても黄色信号が点滅している。セルビアとの親善試合、得点差に準じて明らかになったのが、両国のサッカーの質の差である。セルビアには派手なパス回しはないが、ゴールに向けて早く、厳しく迫り、得点の可能性を一人ひとりが追求する。その姿勢がサッカーの質の差となってあらわれる。その姿勢はどこからくるのか−−といえば、おそらく、選手一人ひとりが、国内・国外を問わず、サバイバルを繰り広げ、生き残るために戦っているからだろう。セルビアの「二軍」選手たちにとって、代表監督の目にとまるということは、ステップアップが約束されるに等しい。親善試合であっても、いや親善試合であればこそ、そこで自己をアピールできれば、セルビアよりも経済レベルの高い国のクラブに入団できる可能性が開かれ、自国では稼げない「ビッグマネー」を手に入れることができる。サバイバル、ステップアップ、国外移籍、ビッグマネー・・・という、まったくもって単純な図式がサッカーの質を決定する。

日本のプロサッカーの歴史は短い。しかも、選手が強くなる単純な仕組みが、その構造にビルトインされていない。肉食獣のいない孤立した島で、独自の進化を遂げた草食哺乳動物が異常繁殖したのが、日本サッカーなのだ。悲しいけれど、それがいまの日本サッカーの現実なのである。


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