| 2013年06月23日(日) |
期待できない1年後(W杯ブラジル大会) |
<コンフェデレーションズ杯:日本1−2メキシコ>◇1次リーグA組◇22日◇ベロオリゾンテ・ミネイロン競技場
日本、メキシコともに1次リーグ敗退が決定した消化試合。日本がメキシコに敗れ同組最下位となった。得点経過等は省略する。
大会開催前の予想通り、“死のグループ”と呼ばれたコンフェデ杯A組は、ブラジル(勝ち点9)、イタリア(同6)、メキシコ(同3)、日本(同0)の順位で終了した。世界中のだれが予想しても、それしかないくらい順当な結果だ。途中(日本の第2戦)、日本がイタリアから3得点を奪う乱戦を演じたが、結局は4失点で敗けた。
日本はアジアのベスト4以内の実力にすぎない。南米、北中米、欧州の強豪国からは勝ち点1すら奪えない。これが日本ナショナルチームの実力であり、よほどの幸運に恵まれない限り、W杯ベスト8に進出することは難しい。
◎注目に値するザッケローニの戦略
このたびのコンフェデ杯のグループの組み合わせが決まった時、筆者を含めて日本のサッカーファンは、この大会(コンフェデ杯)は強豪3国の胸を借りるという意識で支配されていた。負けてもいいから、「いい内容」の試合を見せてほしい、という思いだった。ところが、そんな日本サッカーファンのナイーブ(ウブ)な心情とは裏腹に、ザッケローニ日本代表監督はリアルにも、予選リーグ突破の可能性を探っていたようなのだ。
その戦い方、つまり、ザッケローニがとった戦略とは、初戦の開催国ブラジル戦を捨てるというものだった。いかにも現実的な作戦だ。そして、中2日で日本と対戦する母国イタリアとの試合に全精力を傾けた。結果は負けたけれど、イタリアを追詰めるところまでいった。ザッケローニのリーグ戦対応は見事というほかない。
思いだしてほしいのは、日本が予選リーグを突破したW杯南アフリカ大会の(グループリーグの)戦い方だ。岡田ジャパンは初戦のカメルーン戦をチャンスととらえ、そこに全精力を集中した。当時、カメルーンチームは報酬問題等で主力選手が練習に不参加だったりして、代表チームは崩壊寸前だった。カメルーン戦で勝利、第2戦目の強豪オランダ戦は捨て試合――うまくいけば勝ち点1(引分け)、そして、最終戦のデンマークに勝ちに行くというシナリオで、それがうまくはまり、日本はベスト16入りを決めた。
世界サッカー標準からみれば弱小国日本だが、グループリーグの組み合わせに応じた戦い方をすれば、リーグを突破できる可能性がゼロではないことを実証した。
このたびのザッケローニは母国イタリア代表のコンディション、チーム事情等を把握する情報を得ていたのだろうか。彼がイタリア人だから知り得たものだったのか、それは外部者の筆者にはわかりかねるものの、相手国がどこであれ、相手国の現状分析を怠らず、いくらかでも勝ち点を積み上げられる方向性をぎりぎりまで探ってほしいものだ。現状の日本の実力では、日本がW杯でベスト16に入るためには、予選リーグ3試合全部を勝ちに行くことは不可能。中には捨て試合、引き分け試合も計算すべきというわけだ。ついでに言えば、守りきるサッカーもしてほしい。
◎日本代表の課題
日本代表の課題となると、言い尽くされた感があるものの、�ー虍�(とりわけセットプレー対策)、��攻撃における決定力、��ミドルシュート力、�ち�手起用(選手層)、�ち澗里亮紊機�甘さ――と山積状態だ。換言すれば、日本サッカーのレベルが世界標準からみれば、かなり下回っているということにすぎない。W杯開催まで1年を切った現状で、改善できるのか。
◎新戦力の台頭がない
コンフェデ杯の日本代表は GK=★川島永嗣、西川周作、権田修一 DF=伊野波雅彦、酒井高徳、★長友佑都、★内田篤人、★今野泰幸、栗原勇蔵、酒井宏樹、★吉田麻也 MF=★本田圭佑、★遠藤保仁、清武弘嗣、★香川真司、細貝萌、中村憲剛、★長谷部誠、乾貴士、高橋秀人 FW=★岡崎慎司、ハーフナー・マイク、★前田遼一 (★レギュラー)
一方、いまから3年前(2010)、W杯南アフリカ大会の代表メンバーみておこう。 GK=川口能活、楢崎正剛、☆川島永嗣 DF=☆中澤佑二、☆田中マルクス闘莉王、☆駒野友一、岩政大樹、今野泰幸、☆長友佑都、内田篤人、 MF=中村俊輔、稲本潤一、☆遠藤保仁、中村憲剛、☆松井大輔、☆阿部勇樹、☆長谷部誠、☆本田圭佑、 FW=玉田圭司、☆大久保嘉人、矢野貴章、岡崎慎司、森本貴幸、 (☆カメルーン戦スタメン)
現在の日本代表から、GKの川口、楢崎、DFの闘莉王、中澤、駒野、岩政、MFの中村、稲本、阿部、松井、FWの大久保、玉田、矢野が消え、そのかわりの新戦力としては、GK西川周作、権田修一、DF伊野波雅彦、酒井高徳、栗原勇蔵、酒井宏樹、吉田麻也、MF清武弘嗣、香川真司、細貝萌、乾貴士、高橋秀人、FWハーフナー・マイク、前田遼一が加わった。
しかしながら、代表レギュラーの座を獲得できているのは、CB吉田、MF香川、FW前田のみ。期待されているFWハーフナー、MF清武、乾、DF(SB)酒井(高)、酒井(宏)は控えにとどまり、前回大会の代表選手を追い越すまでに至っていない。
香川のイングランドプレミアリーグにおける活躍及び複数の若手選手のドイツ移籍に目を奪われ、日本は若手が台頭していると錯覚させられているが、代表レベルでは、新戦力が南アフリカ大会の主力を追い越していないことになる。また、課題となるDFとりわけCBについては、イングランドプレミアでレギュラーを獲得した吉田と、ベテラン今野のコンビで固定されているが、南アフリカ大会の闘莉王、中澤ほどの安定感がない。
ボランチの遠藤、長谷部もほぼ不動。Jリーグではボランチに人材豊富だが、遠藤、長谷部を追い越せない。遠藤(33才)は超ベテラン(ドイツ大会からブラジル大会まで、おそらくW杯3大会連続の代表選出になるのではないか)の域に達している。年齢がすべてではないが、サッカーは若者のスポーツといわれるくらいだから、いまから1年後はだいじょうぶなのか。
そう考えると、代表チームを勢いづける媒体となる新戦力の不在は、ブラジル大会の致命傷になる可能性もある。いま現在のところ、スーパースターが誕生する予兆はない。
筆者はMF高萩洋次郎、FW佐藤寿人の広島の2選手に魅力を感じるが、チームにフィットする時間はない。FW工藤壮人(柏)、FW宮市亮(ウイガン)、MF大津祐樹(デュッセルドルフ)を招集しても、らちはあくまい。ということは、現在のレギュラー以外に選択肢がなく、人材的には手詰まりだ。ブラジルW杯に彗星のごとく現れる若手がいないとなると、日本代表にこれ以上期待することは困難だろう。
| 2013年06月20日(木) |
ザッケローニは名将かもしれない |
<コンフェデレーションズ杯:日本3−4イタリア>◇1次リーグA組◇19日◇レシフェ・ペルナンブコアリーナ
日本はイタリアに3−4で敗れ、2連敗で1次リーグ敗退が決定した。
●乱戦を裏付ける得点経過
両チームの得点経過を振り返ってみよう。
・前半21分、日本のDF裏への縦パスを拾ったデシリョからGKへのバックパスに、岡崎が飛び込み、GKブフォンに倒されPKを獲得。これを本田が左足でゴール右へ決め、日本が先制【日本1−0イタリア】
☆前半33分日本、右CKからの流れで、ゴール前のルーズボールを今野がつなぎ、ペナルティーエリア内で相手DF2人の間で大きくワンバウンドしたボールを香川が反転して左のハーフボレーのゴール【日本2−0イタリア】
・前半41分イタリア、ピルロの右CKを中央でデロッシがヘディングシュート。これが綺麗に決まり1点差に迫る 【日本2−1イタリア】
・後半5分イタリア、ゴールライン付近のこぼれ球を吉田と競ったジャッケリーニが奪い、クロス。これをクリアしようと、バロテリの手前でスライディングした内田がオウンゴール【日本2−2イタリア】
・後半7分イタリア、長谷部のハンドでPK獲得。バロテリがゴール【日本2−3イタリア】
☆後半24分日本、長谷部が倒されて得た右サイドからのFKを遠藤がキック。これをニアサイドで岡崎が頭を合わせ同点【日本3−3イタリア】
・後半41分イタリア、今野の中途半端なクリアを拾われ、マルキジオの右からのグラウンダーのクロスをジョビンコが押し込み、再び勝ち越し【日本3−4イタリア】
●日本の失点は凡ミスから
それぞれの得点シーンの深層を見てみよう。
(一)前半21分の日本のPKは日本にとってラッキーな判定。PKを取らない審判のほうが多い。
(二)前半41分のイタリアのコーナーキックのとき、日本の選手が水を取りにいってゴール前を空けた。それを見てピルロが早めに蹴った。日本の守備は相手を捕まえられなかった。日本の集中力が切れたことによる失点といえる。
(三)後半5分の日本の失点はDF吉田のミスから。この大会、吉田の調子は悪い。
(四)後半7分の長谷部のPKは、審判の帳尻合わせ。前半日本のPKと相殺というわけ。
(五)後半41分の日本の失点は、前出のとおり、今野の中途半端なクリアを拾われたことがきっかけ。
すなわち、☆印=ミス及び誤審に係らない得点、すなわち、まともなそれは、日本が前半33分の香川のゴールと後半24分の岡崎のゴールの合計2。一方のイタリアはすべて日本DFのミスが発端となっていて、自ら切り開いたものではない。
日本にミスがなければ、勝てた試合だった。もちろん、得点というのは得点が入った段階で両チームの選手のメンタルな部分に多大な影響をもたらし、動きの質が変化するので、得点シーンだけを振り返っても意味はない。しかし、日本がミスを多発して、しかも、そのミスが試合を決定づけるという意味においてきわめて深刻なのだ、ということを理解する材料となる。
それだけではない。まず立ち上がりから、イタリアの動きが鈍い。中2日の強行スケジュールの調整に失敗したようだ。しかも、先制点は幸運なPKからだった。これは麻雀に譬えれば、配牌で役牌が対子でドラが暗刻というチャンス手をもらったようなものだ。このまま手なりで進めれば、満貫が上がれた。しかし、日本はミスミス上がり牌を見逃して上がれなかったような、残念な負け方だった。こういう負けは先日の当コラムに書いたとおり、日本の「甘さ」に起因する。
●ザッケローニは名将か
ザッケローニが――仮にも作戦として初戦のブラジルを捨て、このイタリア戦に勝負を賭けたとしたとしたら――ホームで圧倒的に優位にある開催国ブラジル戦は、批判を覚悟で戦わずに負けて体力を温存し、第二戦目の対戦相手イタリアは中2日で日本と戦わなければならないことを見越して、日本選手のコンディションをイタリア戦にピークにするよう指示したとしたら――彼を名将と呼んでいいと思う、すごい監督だということだ。
この試合をつくったのがザッケローニの作戦なのか偶然なのか、筆者にはわからない。だが、結果は強豪イタリアを追詰めたものの負けた、重なるミスによって。誠に残念というほかない。
| 2013年06月17日(月) |
イタリアのパワーが巧者メキシコを粉砕 |
日本(A組)の対戦相手となるイタリアとメキシコの試合は、イタリアが2−1で勝利。試合経過は省略するが、いい試合だった。先日の日本とブラジルのような実力差がかけ離れた弛緩した内容とは異なり、質の高さを感じた。一言でこの勝負を評するならば、パワーで勝るイタリアが巧者メキシコを抑え込んだ、となろうか。
前半27分に直接FKを決めたピルロのキックの技術、1−1の後半33分にメキシコDFを振り切って勝ち越し点を奪ったバロテリのパワーが、日本にとって脅威となろう。日本とイタリアの対戦は19日(日本時間20日)。
負けたメキシコもしたたかなチームだ。規律が高く、1対1も粘り強い。ゴール付近で気を抜くと、一瞬で危険な場面を招きかねない。日本のDF陣のなかで、とりわけ調子を落としているCBの吉田麻也が心配だ。エルナンデス、ドス・サントス、グアルダードの攻撃陣は日本よりも決定力が高い。イタリア戦の前半に惜しいシュートを放ったグアルダードには要注意。
日本がイタリア、メキシコに勝利する確率はかなり低い。イタリアは日本に勝利して予選リーグ突破を決めたいところ。かなり力を入れてくる。ただ、メキシコの場合は、日本戦の前にブラジルと試合をする。メキシコがブラジルに負け、日本もイタリアに負けていれば、どちらも、予選リーグ敗退が決まった状況なので、日本−メキシコは消化試合となる。いわばA組の最下位決定戦。プライドを賭けた戦いになるか、無気力な消化試合になるかわからないが、いずれにしても結果に重要な意味はない。
一方、メキシコがブラジルに勝つか引き分けて日本戦に臨む場合は、予選リーグ突破の可能性が残るから、相当な覚悟で勝ちに来る。つまり、その前の試合の結果次第でモチベーションが異なるので、現段階における予想は意味がない。それでも、実力からみれば、日本はメキシコよりも劣る。
| 2013年06月16日(日) |
日本とブラジルの実力差明らか |
<コンフェデレーションズ杯:日本0−3ブラジル>◇1次リーグA組◇15日◇ブラジリア
日本代表が開幕戦で開催国のブラジルに完敗。前半開始3分にネイマール(サントス)の豪快ミドルで先制を許すと、後半開始すぐにも2点目を献上。後半ロスタイムにはカウンターから、DF吉田麻也(サウサンプトン)があっさりと裏をとられ、ダメ押しの3点目を許した。攻撃面でも攻め手なく、点差以上の完敗だった。「W杯優勝」を目標に掲げ、コンフェデ杯にも「勝ちに来た」と前日記者会見で大見得を切った日本代表だが、完敗により、大言壮語の虚しさばかりが印象に残った。
日本代表とブラジル代表の質の差は明らか。ブラジル選手が日本刀の真剣のような強さ、鋭さ、切れ味の良さを感じさせるのに対し、日本代表のそれは竹光のように軽く鈍い。エースの本田は強いが、鋭さ、速さがない。香川は速いが軽い。岡崎は前への動きは非凡だが、先の丸い槍のようだ。残りの選手はすべて、軽くて柔らかくて鈍い、厳しさを感じない。
この差は何か。一般的には“フィジカルの弱さ”と評されるが、その表現で適切なのか。この差はむしろ、サッカー界を取り巻く風土の差といったほうがよいのではないか。相手にかけるプレスの弱さ、コンタクトプレーの脆弱さ、相手からかけられるプレスに対抗する弱さ、プレー全般における反応の鈍さ、一対一の弱さ、攻撃に対する意欲の低さ・・・ひ弱で軟弱な日本サッカー界全般を象徴している。
日本代表を取り巻く環境は甘い。日本がW杯の出場を果たすようになってから、代表戦が高視聴率を稼ぐ優良コンテンツに定着したものだから、マスメディアは腫物に触るかのように、日本代表を丁重に扱い続けている。日本代表監督は文化人のように扱われ、批判を受けない。代表選手はアイドル、タレント以上の扱いを受けている。
日本のメディアは、アジアでベスト4以内にすぎない日本の実力が世界レベルでどのくらいなのか、客観的に計ろうともしない。というのも、日本代表が行う、国内開催によるスポンサー付試合(=フレンドリーマッチ)は、噛ませ犬みたいな相手とばかりで、骨のある相手とは試合をしない。プロボクシングの日本人王者が国内で行う世界戦(防衛戦)と似たような構図だ。そこで勝利を上げてFIFAランキングを上げ、その現状に代表選手も指導者もメディアも、調子に乗りすぎている。もっと、厳しい客観的評価をしないと、日本代表は増長し、進化しない。
勝負だから、この先、日本がイタリアとメキシコに勝つ可能性はゼロとは言えない。だが、よしんば、そんな奇跡が起こったとしても、初戦のブラジルに負けた内容は、日本のいまの実力を表していると筆者は確信している。日本の将来はあまりに暗い。
さて、来年W杯地元開催するブラジル代表はどうなのか。日本戦は60〜70%のできだと思う。立ち上がりで先制点を上げてしまったこともあり、明らかに残り時間はギアを落とした。日本に楽勝して、イタリア戦、メキシコ戦にいくらかでも余力を残したい、というプランだったように思われる。
そんなわけでブラジルの調整具合を判断しかねるものの、攻撃の連携は甘いし、守備も厳しさに欠けているように思える。頻繁な代表監督交代がマイナスに働いている。本気を出していない、という見方でいいのだと思うが、ブラジルが今大会で優勝できるかどうかは不透明なままだ。
| 2013年06月09日(日) |
日本、ブラジルW杯出場決める |
サッカー日本代表は4日、オーストラリアとホームで引き分け、W杯ブラジル大会出場を決めた。日本は前半からやや優位な状況で試合を進めたものの、後半36分、相手クロスが直接GK川島の頭を越えてゴールインという不運な失点で先行された。しかし、タイムアップ直前、相手選手のハンドの反則でペナルティーキックを得、本田が落ち着いて決めドローとした。日本は1998年フランス大会以降、自国開催の2002年日韓大会を含め、5大会連続のW杯出場を果たした。
W杯アジア予選B組、日本は1試合を残してW杯出場を決定した。このことは、少なくとも、アジアでベスト4の実力を証明したことになる。B組の残り1枠は、2位オマーンと3位オーストラリアが勝ち点2差でW杯出場権を争う。オーストラリアは11日・ヨルダン戦、18日・イラク戦をいずれもホームで戦う。オマーンは18日・アウエーでヨルダン戦を戦う。残り2試合をホームで戦うオーストラリアが優位にあることは間違いなさそう。オマーンがアウエーのヨルダン戦に勝って勝ち点3を積み上げても、最終の勝ち点は12までしか伸ばせない。ところが、オーストラリアは2勝すれば勝ち点を最終13まで伸ばすことができる。一方のA組では、韓国、ウズベキスタン、イランがしのぎを削っていて、3チームのうちどこが勝ち残るか予断は許されない。
日本はアジアの4強にすぎない。課題は多い。第一に、パワーサッカーに勝ちきれない点。アジアでは最強のパワーを誇るオーストラリアとは、2試合戦って2試合ともドロー、つまり勝っていない。当コラムで何度も書いていることだけれど、オーストラリアはドイツ大会の代表選手がいまだ主力を構成する、ロートルチーム。若手育成に失敗していて、どの試合も後半、運動量がガクッと落ちる。それでも、日本は勝てない。パワーで劣る相手に、日本は勝ちきれない。
オーストラリア戦の前の親善試合に0−2で負けたブルガリア戦からもその傾向は明らかだ。ブルガリアはW杯欧州予選では2位を確保できない欧州の中堅クラス。このクラスとアウエーで五分に渉りあえるくらいでないと、W杯ベスト8の常連国にはなれない。
課題の第二は、アウエーにおける試合の進め方がうまくないこと。アウエーではオーストラリアと引き分け、オマーンに勝ち、ヨルダンに負けた。格下のヨルダンに競り負けるようでは、この先、アジアでベスト4の地位を確保できるとは限らなくなる。日本には、ここ一番のアウエー戦に負けないような自力はついていない。
課題の第三は決定力・攻撃力の弱さ。パスサッカーが日本の進む道だとは思うが、ゴール前で相手を完全に崩し、GKと1対1をつくってゴールを決めなければいけないというイメージが強すぎる。世界レベルのサッカーでは、とにかくまず、“シュートありき”ではないか。強いストライカーの不在が日本の最大の弱点の1つだ。
課題の第四は、とにかく“本田頼み”の日本代表だということ。課題の四にしたけれど、第一番目かもしれない。精神的にもボールキープという面でも、本田不在の日本代表はあらゆる面での「弱さ」が目立つ。 ザッケローニは、W杯予選の全過程を通じて、手固い選手起用を行ってきた。それが、総合的にみて、予選突破という最低限の目標達成の最善手だったことを否定しない。結果が示す通り、ほかに打つべき手はないかのように思える。グローバルに選手が分散する今日のサッカー状況においては、代表チーム強化の手法としては、これしかないのかもしれない。
しかし、日本代表が海外から呼ばれて試合ができるようになれば、いろいろな選手をテストする可能性も広がる。現在のように、国内親善試合であるキリン(カップ)に縛られた日本開催日程を消化するだけでは、海外組を日本に呼び寄せ、彼らと国内組のコンビネーションを熟成することに親善試合の目的が収斂してしまう。
だが、欧州で親善試合をするときは海外組主体、日本で親善試合をするときは国内組主体と、代表チームの主力を使い分けるような選手起用もあり得る。このような選手起用は、日本の代表サポーターとスポンサーの理解がないとできない難点をもっているが、ブラジル代表、アルゼンチン代表はそうした代表チームのつかいわけをしている。使い分けた代表チームがテストマッチを繰り返しつつ、本番では直前にベストメンバーを組み、短期間にコンビネーションを熟成し、W杯に臨むという手法だ。そうなれば、代表選手の発掘も広く実戦において果たされるかもしれない。
| 2013年06月02日(日) |
大谷は悪くなっていく |
日ハム期待のルーキー大谷翔平が6月1日、ホーム札幌ドームにおいて、交流戦中日相手に先発登板した。結果は5回3失点で初勝利をあげたが、先回と比較すれば、内容は悪くなっていた。
スピードガン表示では150キロ超がしばしば出ていたが、打者がそれほど速さを感じていないように、TV映像からは見えた。しかも、コントロールの乱れが大いに気になる。コントロールの悪さの主因は、大谷の投球フォームが安定していないためだ。大谷は先天的に理想に近いフォームを身に着けているのだが、下半身の筋力が弱いため、そのかたちを継続できない。コントロールが悪くなると、精神的にいらだって、余計に力んで上体に力を入れる結果、肝心のボールに威力と回転が伝わらない。球数が増え、肩、肘に余計な負担がかかるから、長いイニングが投げられない。
「二刀流」と称して、キャンプで投手としての基礎的トレーニングを怠ってきた弊害が、いまはっきりと出ている。このままローテーション入りしてシーズン終了まで投げ続けさせれば、故障しかねない。今シーズンは故障しないかもしれないが、このような起用法を続ければ、大谷は投手として短命に終わる。投手として稀に見る逸材だけに、誠にもったいない。
投手としてその才能を生かすためには、今シーズンは以降、一軍登板を見合わせることだ。二軍で再度調整キャンプをはって、下半身強化のトレーニングを積み、フォームを安定化させ、さらに右打者の外角いっぱいのストレートのコントロールを磨くことが先決だ。また、併せて、クイック投法の習得とチェンジアップもしくはスプリット系の変化球も習得してほしい。そのことが、アウトを取れる投手の条件となる。
一軍の実戦登板でもできそうだが、大谷の心の整理のための時間の必要性を筆者は強調したい。まず、日ハム首脳陣が大谷に課した「二刀流」という愚策を大谷の肉体と頭(精神)から完全に払しょくさせるための時間。投手としての鍛錬、投手としての調整法、投手としての試合の入り方、相手打者の観察・研究の方法の習得、ピンチのときのメンタルの持ち方・・・投手として学習することはあまりにも多い。二軍行きは、大谷が投手に専念するための肉体的・精神的な時間という意味だ。
先般、MLB・NYヤンキースで活躍している黒田博樹投手を特集したTV番組を見た。その番組で筆者は、黒田がノートにぎっしりと自分の投球(相手打者ごとの)の分析を記録していることを知った。野球は、身体の強さだけではなく、頭の強さも必要なスポーツなのだ。大谷がMLBの頂点までを目指すのならば、まずは日本球界において、「黒田」と同じくらいの、あるいは「黒田」を上回る努力をしなければならない。そういう謙虚さを身に着けなければ、投手としても打者としても失敗する。「二刀流」である限り、その両方を追求することは不可能なのだから。
大谷の「二刀流」が集客を目的とした日ハム球団の経営方針ならば、日ハム球団の集客マーケティングはまちがっている。大谷はパンダではない。大谷が試合に出れば人が集まると考えるのは誤りだ。日ハムがチームとして強ければ、客は球場に足を運ぶはずだ。大谷が試合に出続けたとしても、日ハムのチーム成績が悪ければ、客は遠のく。日ハム経営陣は、チームのためにも大谷のためにも、「二刀流」をやめ、“大投手大谷”を育ててほしい。栗山監督は、大谷に対し、彼がプロの超一流選手となるために何をなすべきなのかを、教えなければいけない。それが指導者としての最低限の役割ではないのか。経営陣の言いなりならば、サラリーマンではないか。
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