恋文
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わたしの 葉っぱの
葉脈 みたい
ぷつり
切ってみたい
なんか とても
かわいい
木の かおり 草の かおり
知っている そのまま
そのまま あるいていよう
夢がさめると おなじように
いつか おわってしまう
また ゆめに もどろう
忘れられない ことは そのまま
みごとに 忘れてしまう すぐ 一瞬まえの こと
雨を うけて あるく
こもっていた 熱が ぬぐわれる
みどりの 香りが たちあがる
こんなに
あじさいの つぼみが ふっくら ふくらんできた
あじさいに ふる あめに なろうか
わたしが 要らないとき
わたしは わたしで いる
空から すこしづつ ひかりが 消えてゆく
かげが 部屋のなかに ひろがり
時計のおとを 数えている
影も ない のだろうか
ふりかえっても 見えない
などと 言うのは
まだ 覚えているから だろうね
もう ずっと とおくに きてしまった
いつか 伝わった そのままに
花を みていた
花は 雨にうたれて
空を みていた
空から 雨がふってくる
草の におい 水の におい
揺れている 木の枝が
空に 引っ掛かっている みたい
川の流れの 音
木の葉の ふれあう 音
川が ひかり 枝が ゆれて
午後が すぎてゆく
雲が いつのまにか ひろがっている
そのときに 知っていた わたしたちが あって
知らない あいだの わたしたちが あって
なんどでも 知ることができる
きっと 一緒のことを もっている
ひかりが あんまり まぶしくて
木の下みちは あおくて くらい
じぶんの 息のおとを ききながら
じっとり 汗が しみてきて
まだ あるいている
鏡の中に いた
逃げて しまった
わたしを さがす
わかっていて もう もどれない
わたしだって 過ぎてしまうのを
待っている
みどりの道を 歩いてゆく
風に 木々はさざめき ひかりが ゆれる
ここにある 音だけを 聴いている 午後
むすんだ 手と手
ふれあった くちびる
わたしたちだけの
その とき
いつも すぎてゆく
わかれた わたし
どれも わたし
あなた わたしと いっしょね
わたしは あなた だったのね
いつか 風が 冷たくなって
草の においが たちこめている
失うまえに わたしで いようと
すでに 失っていた わたしを
思い浮かべ
まだ 失わないと 信じている
この世界を 要らないと 言ってしまおう
わたしを いらない と いってもいい
午後は 寒いくせに
歩いていると 汗ばんでくるのだ
どこまでも とおい として
果ての果てが あるのなら
歩いてゆこうか
どこに いたのだろう
もう一度 帰りたいと おもった
音を 聴いている
色を 見ている
濡れて わたしは 透き通るだろうか
なにも 聞こえて こないと
ここに 音は ないのだろうか
からだの なかに ひびいている のは
かつて 感じた こと だけなのだろうか
もうすぐ 聞こえるだろう
そのために まだ 耳をすませている
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