恋文
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雨になる前の 風に乗って
通りのざわめきも くすぶっている
殻を剥くのを 失敗してしまった 茹で卵の
白い肌から のぞく
黄身の味
降る雨も みどりにしみて
灰色の空のしたでも すこし明るい
あるがまま というのは むずかしい
だれかは いびつだというし
わたしは すなおだという
だれもが じぶんのものさしで みているのだから
別れの時と
なるのだろう
どこからともなく
どこからでも
眠れない夜の 堂々巡り
外から聞こえてくるのは 風ではなく
走る車の音 いったり きたり
行方は ぼんやりとする
雨のとばりのなか
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