恋文
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少し 傷のある手
ときに不器用で あるいは不注意で
奥底に滞ったような 痛み
木々は雨を溜めるから
ぽつり ぽつりと しずくが落ちてくる
みどり みどり
小鳥の声と 雨の音
じぶんの 息を聞いている
風が 冷たくなった
草が 揺れている
空を 仰ぎ見ると
まだ 曇っている
アガパンサスの 花の傍らを歩く
風が冷たくなる
離れるわたしを 繋ぎとめている
真ん中のわたし
夜の風のなか
消えてゆく 夕日の光
おきびのように
どろりと 沈む闇
音も鈍くなる
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