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2004年06月25日(金) ■ |
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ちみどろ砂絵 : なめくじ長屋捕物さわぎ(都筑道夫)読了 |
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●読了:ちみどろ砂絵 : なめくじ長屋捕物さわぎ(都筑道夫) 内容(「BOOK」データベースより) 江戸は日本橋川の渡し舟から男が消えた。男は下手人で、両岸を岡っ引きたちがしっかり見張っていたから謎は深まるばかり。ここで登場するのが「なめくじ長屋」に住む砂絵かきのセンセー。長屋の大道芸人たちを手足に使い、名推理で事件を見事に解決していく(「よろいの渡し」)。推理小説界に旋風を巻き起こし「ベストワン」と絶賛された、シリーズの記念すべき第一作。 目次≫第1席 よろいの渡し / 第2席 ろくろっ首 / 第3席 春暁八幡鍾 / 第4席 三番倉 / 第5席 本所七不思議 / 第6席 いのしし屋敷 / 第7席 心中不忍池
30年くらい前に書かれた江戸時代もの、捕物帖。岡本綺堂の『半七捕物帳』と共に前から気になってたシリーズで、順番はあまり関係ないみたいだけど、最初はこの「ちみどろ砂絵」と聞いて読んでみた。 江戸の町のはぐれ者がよせ集まった長屋、通称「なめくじ長屋」。ここの住人はみな大道芸人ばかりなものだから、雨の日は仕事にならず、大の男が昼日中から部屋でゴロゴロしているところからついた名前だそうな。探偵役の砂絵かきのセンセーを中心に、一癖も二癖もある大道芸人たちが江戸の事件を見事に解決したり、ひっかき回したりする短編集。
うむ、なかなか面白かった。私が知ってる中では、京極夏彦の【巷説百物語】に一番雰囲気が近いか。人の感情(叙情)よりも、モノや情景(叙事)の連なりで埋め尽くされているところが、すごーく男性作家の本だと思う。個人的には、こういう人の感情が伝わってこない本はどんなに面白くても物足りなく感じてしまうけど、こういう本の方がかえって何十年たっても色褪せないというのはあるかもしれない。他の本も読んでみよう。
*光文社文庫から現在11冊出ている。 ちみどろ砂絵 くらやみ砂絵 からくり砂絵 あやかし砂絵 きまぐれ砂絵 かげろう砂絵 まぼろし砂絵 おもしろ砂絵 ときめき砂絵 いなづま砂絵 さかしま砂絵
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2004年06月24日(木) ■ |
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死神の館(テリー・プラチェット)@50/243p |
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●読書中:Mort(Terry Pratchett)@50/243p
翻訳≫死神の館 ≫Excerpt ≫他の本のレビュー(テリー・プラチェット) 内容(「MARC」データベースより) 魔道士マリックは永遠の命を手に入れるため、死神を招来する魔法〈アシュケンテの秘技〉を逆の手順でやってみることを思いつく。イギリスで圧倒的人気を誇るファンタジー「ディスクワールド」シリーズ邦訳第1巻。
あー、そっか【Equal Rites】もそうだったけど、ディスクワールドの大人向けの本は章分けがないんだった・・・。これだけはちょっと苦手なんだよな〜。どこまでも区切りが付かないみたいで、何となく読みにくい。 タイトルの"Mort"が死神の弟子になる少年の名前だってのは聞いていたけど、"mort"にも"死"の意味があったとは知らなかった! Death(死神)に対するMortal(人間、死すべきもの)の暗喩かと勝手に思ってたわ。でもMortの発音は発音記号から見て「モルト」じゃなくて「モート」だと思うよ。モーティマーの愛称なんだし。
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2004年06月23日(水) ■ |
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Ombria in Shadow(パトリシア・A.マキリップ)読了 / 未来少女アリス |
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●読了:Ombria in Shadow(Patricia A. McKillip)
≫EXCERPT ≫感想はこちら 感想、眠気と戦いながら書いたにしてはわりとマトモなこと書いてるじゃん、自分(^^; おもしろかった。最初の3章ほどがクソ難しくてどうしようかと思ったけど、その後は文章に慣れたせいかどんどん楽になって、後半は英語のストレスなしでOmbriaの世界を堪能できて幸せだった。 この本の特徴は森や海などの大自然が出てこない、最初から最後まで街中の話だってことがひとつ。川は出てくるけど、ロンドンとかパリのような街中を流れる、よどんだ川のイメージなんだよね。Ombriaという街に、重層的に歴史が積み重なって、地上と地下、光の町と影の町が折り重なって、同時に存在しているという・・・。 あと、テーマが正統派っぽいというか、メジャーだなーと思った。国の権力を握る黒い魔女、王族貴族たちの権力闘争と、それに翻弄される幼い世継ぎの君なんて、一般に分かりやすいネタで。個人的なベストワンはやっぱり【Winter Rose】のまま変わらずだけど、マキリップの歴史絵巻もなかなか素晴らしかった。
▲新刊:未来少女アリス(ジェフ・ヌーン)
<内容紹介> ある昼下がりのこと。謎かけ好きのオウムを追いかけ、アリスが古時計の中へ飛びこむと――さあ大変! そこは、動物と人間の混血種が闊歩する未来のマンチェスター。しかも、アリスは世間を騒がせている一連の糸鋸断片化殺人事件の容疑者にされてしまい……!? ナンセンス&超エキセントリック・ファンタジイ。
書店で発見。うわあ、かわいいーーーっ!! 原書(Automated Alice)より絶対イイ! 挿絵も表紙もかわいいし、訳がちゃんと「アリス」本編と同じような、児童書っぽい訳でそろえてあるのも最高! いいね〜。家族が購入済みなので、近々私も借りて読んでみよう。あ、でも「糸鋸断片化殺人事件」とは一体・・・糸鋸断片化って(^^;; 「ジグソーパズル殺人」じゃダメなの? ≫PBのレビューはこちら
▲トリビアの泉 本日のMFTは「一青窈(ひととよう)の「もらい泣き」の再生速度を遅くすると、平井堅が歌っているように聞こえる」。すごいー、嘘みたい。本当にソックリ! つか、元のよりもいい!
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2004年06月22日(火) ■ |
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アベラシオン(篠田真由美)読了 |
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●読了:アベラシオン(篠田真由美)
出版社/著者からの内容紹介 天使の名を持つ一族が正五角形の迷宮に住んでいた……。豪奢にして残酷! 構想10年、戦慄の最終章は誰にも見通せない。 冬のヴェネツィア、華やかなパーティのさなかに起きた奇妙な殺人事件。偶然目撃者となってしまった日本人留学生藍川芹は、やがて事件の関係者からの招待状を受け取る。北イタリア山中の巌上にそびえる<聖天使宮(パラッツォ・サンタンジェロ)>。未公開の美術品に満たされた巨大な正五角形の宮殿を所有するのは、謎めいた伝説に包まれた美しい一族の末裔だった。心ならずもそこに滞在することとなった芹の前に、勃発する凄惨な連続殺人。一族の過去に揺曳するナチズムの影。車椅子の少年に導かれて、絢爛たる地獄を巡る女主人公(ヒロイン)が最後に見たものは――。建築探偵シリーズともリンクする著者渾身の力作!!
軽くフッ飛ばしてストーリーを追っただけなので、感想が的外れかもしれないけど、いちおう記録ということで書いておく。 マキリップのOmbria in Shadowを最後まで読むはずが、帰りに寄った図書館で借りてきた本を終わりまで読んでしまった。う〜ん、たしかに大作。耽美とか幻想的というのを通り越して、もう文学的というか・・・。読んでいて連想したのはアン・ライスだな。よく「話はさておいて」とばかりに、登場人物の口を借りて虚実織り交ぜた歴史、美術、宗教などのウンチクを長々と語りに入って悦ってるところがソックリだ。良い意味でも、悪い意味でも、かなり作者の趣味に走った作品だと思う。こういうのは基本的に嫌いじゃないけど(アン・ライスも大好きだし)、今回はちょっと話に乗れなかった。私はウンチク部分は全部飛ばしてストーリーだけを追ったのだけど、こういう読み方は邪道なんだろうが。 話に入れなかったのは、たぶん9割方は主人公の芹ちゃんのせい。この娘、嫌い。芹ちゃん=優柔不断、という固定イメージはエデンを遠く離れてシリーズ(江上冴子)の影響か? ウツっぽくグチグチ悩んでるかと思えば、優柔不断でフラフラと考えが変わる芹ちゃんの心の動きがよく理解できなかった。こういうキャラは異性なら許せても、同性だと許せないんだよな・・・。あ・そうかっ、この芹ちゃんも男の子だと思って読めばよかったのか! うわぁ、失敗したかもー!!
●図書館 アベラシオン(篠田真由美) ジェイン・エアを探せ! : 文学刑事サーズデイ・ネクスト 1(ジャスパー・フォード) ちみどろ砂絵 : なめくじ長屋捕物さわぎ(都筑道夫) フューチャー・イズ・ワイルド(ドゥーガル・ディクソン) 妖怪図巻(京極夏彦)
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