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2005年09月23日(金) ■ |
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迷宮の国のアリス / 疾走!千マイル急行 (下) (小川一水) |
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▲迷宮の国のアリス 銀座にある「"不思議の国のアリス"と"ゴシック&ロリータ"をコンセプトにしたダイニングレストラン」に行ってきました。開店時間は夕方から翌朝までという時間帯で、価格は割引クーポンを使ってひとり5000円くらいだった。コース料理は今は「2周年記念コース」というのしかないみたい。カクテルの名前がまたすごい。私は「女王様の赤い薔薇」、同行者の友人は「ロリータの憂鬱」を注文。*カクテルの説明はこちらで読めます。 間口の小さなビルの5階にあるんだが、店内に入るとまずミニスカートのメイドさん(アリス?)が「いらっしゃいませ。迷宮の国へようこそ」と出迎えてくれる。女性客が多くて、カップルか女性同士の客ばかりだった。お料理の量も女性向きな感じ。暗〜い店内に沢山いるアリスたちと、BGMに流れる明るいディズニー音楽が不思議な雰囲気。ディズニーアニメのアリスはもちろん、ライオンキング、白雪姫、美女と野獣にメアリー・ポピンズ・・・。料理はまぁまぁだったけど、雰囲気を楽しむ店って意味ではお腹いっぱい。次はオペラハウスの魔法使いに行ってみたいな。
●読了:疾走!千マイル急行 (下) (小川一水)
栄光の祖国を奪われた、豪華寝台列車「千マイル急行」とその乗客たちは、装甲列車に守られて、固く封印された謎の貨車とともに、ようやく、東方の友好国に辿り着いた。だが、援軍を得られるはずのその地で、軟禁の日々が続く。祖国滅亡か再建か? それを決めたのは若き乗客の決意だった。 今こそ、千マイル急行は遙かなる希望の地へ!
上巻で当初の目的地にたどり着いた主人公たちを待っていたのは・・・。「千マイル急行(TME)」の乗客・乗務員は祖国を追われた、いわば"難民"の立場。彼らが他の国々が力を争う大陸の中で、自分たちの国を取り戻すまで。 発売日は22日らしいが、今一時的に品薄になってるらしくて、手に入れるのに苦労してしまった。・・・うーん、なるほどね。こういう風にまとめたか・・・。『復活の地』といい『第六大陸』といい、結局最終的に国興し物語に行き着くのは小川一水の好みかな。面白かったけど、「またか!」という感想はしょうがないと思う。
他の作品と比べた本書の特徴は、移動性か。話の舞台が列車ということで、大陸中を列車で旅しながら、文化の違う国々を次々訪問する。力になってくれる国もあれば、襲って財宝を奪い取ろうとする国も・・・こんなに沢山の国々を書き分けるのは大変だったと思う。上巻で冒頭にある地図を最初に見たときは、見たことのない地名が並んでいてわけが分からなかったのが、話が進むにつれて大陸の広がりを感じるようになる。読み終わったときには、そこに住んでいる人たちがリアルな映像で頭の中に浮かんできた。いいなぁ。こういう確固とした設定のある異世界って、それだけで心惹かれる。噂に出てきただけの国とか、それすらもなかったところも沢山あることだし、ディスクワールドみたいにシリーズにしてくれればいいのに。テオの両親の話ももっと詳しく知りたい!
●購入本&アマゾンから 和書3冊¥1900(割引¥500) 疾走!千マイル急行 (下) (小川一水) 空色勾玉(荻原規子) 魔軍襲来 : アルスラーン戦記(11)(田中芳樹)
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2005年09月22日(木) ■ |
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神様ゲーム(麻耶雄嵩) |
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●読了:神様ゲーム(麻耶雄嵩)
小学4年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき?それとも何かのゲーム?数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を?芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが……。
どす黒い。血まみれ。崩壊。 ものすごい本だった。これ「少年少女たち」に読ませるのって問題あると思うぞ・・・。いちおう児童書と銘打ってあるのだから、こんな風に猫が殺されたり、友達がガンガン死んだり、あちこち血みどろのスプラッタというのは一体どうなんでしょう・・・。こういう容赦ないところが「麻耶雄嵩らしさ」なのだとしたら、私にはついて行けないです。アマゾンのレビューなど見る限りでは、ファンの人たちはそういうところが好きなんだろうな、と想像がつくけど。
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2005年09月21日(水) ■ |
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老ヴォールの惑星(小川一水) |
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●読了:老ヴォールの惑星(小川一水)
偵察機の墜落により、おれは惑星パラーザの海に着水した。だが、救援要請は徒労に終わる。陸地を持たず、夜が訪れない表面積8億平方キロの海原で、自らの位置を特定する術はなかったのだ―通信機の対話だけを頼りに、無人の海を生き抜いた男の生涯「漂った男」、ホット・ジュピターに暮らす特異な知性体の生態を描き、SFマガジン読者賞を受賞した表題作ほか、環境と主体の相克を描破した4篇を収録。著者初の作品集。
おもしろかった。 裏テーマは「サバイバル」なのか、4話とも生き残りをかけて頑張る話だった。結末はいわゆるハッピーエンドなものの他、星新一のような最後にちゃぶ台返しの結末のものなど色々だったけれど、総じて内容はブラックな感じの話が多かった。どの話も圧倒的な読み応えがあっておもしろかった。
「ギャルナフカの迷宮」地図を手に入れた――三枚目の地図を。 主人公は政治犯として地下深くに築かれた「ギャルナフカ迷宮」に落とされる。すぐに脱出してやる、と彼は高をくくっていたのだが…。
「老ヴォールの惑星」もう1万日近く、ヴォールは秋の食事をやめていた。 話の舞台として登場する"ホットジュピター"というのは、近年発見された太陽系外惑星の一種類。数日というごく短い周期で、恒星のすぐ近くを楕円軌道で回り、表面温度は千度を超えるものもあるという。「老ヴォールの惑星」は、この過酷な環境の中で自然発生的に生まれた驚異の知的生命体が主人公になっている。ストーリーよりも何よりも、こういう最新の科学の発見を基にしたSFってすごい! SFマガジンに掲載された時もそれで話題になったんじゃなかったかな。途中までは自分がテレビや雑誌などで見かけた「事実」と認められていることなだけに、彼らの生まれた経緯やその暮らしぶりにはドキドキしてしまった。本当にこんなことがあったらいいのに!
「幸せになる箱庭」短い時間ながらことをたっぷり楽しんだ高美とエリカが、服装を気にしつつ機材庫の戸口から顔を出すと、間の悪いことに通路の先から歩いてくるマイルズと目が合ってしまった。 仮想現実についての話。オチが星新一っぽい。「繁栄の花」とか「おーい でてこーい」を思い出した。いや、ストーリーは全然違うけど、ブラックな感じが妙にね・・・。
「漂った男」海面は足を叩かず、ざぶりと柔らかく呑みこんだ。 裏表紙の紹介にあった作品、海しかない水の惑星に投げ出された男の話。ロビンソン・クルーソー以来の伝統を誇る、古くて新しいテーマ。描き方によってこんな風に新しくなるんだなと驚いた。
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