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2006年05月17日(水) ■ |
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ルナティカン(神林長平) |
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●読了:『ルナティカン』ハヤカワ文庫JA(神林長平)
内容(「BOOK」データベースより) 月面都市の大企業LAP社は、自社製アンドロイドの両親に人間の少年を養育させる実験を行なっていた。地球のノンフィクション作家リビーは、このポール少年に対する非人道的行為を告発するため月面を訪れた。とある事情からポールの成長を見守る自由探偵のリックと出会った彼女は、少年の哀しい出自を知る。それは、入植初期の地下都市跡で生活し、地上の人間からは蔑視される一族“ルナティカン”の物語でもあった…。
この本に出てくる「ルナティカン」という単語を知ったのは、まったく別のジャンルの女性向け同人誌だったりする。この作品のファンだという人が書いたダブルパロディ作品があって、それがおもしろかったので本屋でふと見かけたときに購入してみた。という風に出会った本。 わりとよかった。設定がおもしろい! こういう世界のこういう人たちに萌えてしまう気持ちはすごくわかる。月世界の地下に・・・(ネタバレ)・・・いいなあ。ルナティカンたちの風俗習慣、生態については、他の部分と同様にわりとアッサリ流されているので、「そこをもっと詳しく!」と読みながら思った。 ・・・しかし、積読の山を着々と消化しつつあるのはいいことだ。読むものがなくなったら、洋書に戻れるかもしれない(^^;
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2006年05月13日(土) ■ |
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途中の家(エラリイ・クイーン) |
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●読了:途中の家(エラリイ・クイーン)
ニューヨークとフィラデルフィアの中ほどにあるあばら家で殺人事件が起った。エラリイの手腕で被害者の男の意外な事実が暴露された。つまり彼は二つの町に妻を持つ二重結婚者だったのだ! 二人の妻はその名誉と潔白を賭して法廷に立つことになる。自選ベスト3に選ばれた、読者への挑戦状を付す迫力篇。
積読の山脈を崩して読んでみた。 2つの町にそれぞれ妻を持ち、2つの家庭を行ったり来たりしていた二重結婚者の男が被害者。2つの顔が入り混じる場である「途中の家」で殺されたことにより、事態が混乱していく。 設定が変わってておもしろいが、裁判シーンが延々と続くので全体的に回りくどくて読みにくかった。まぁ今となっては「二重結婚」という、それぞれの家で正しく「夫」と認識されているという状況に現実味が全然ないわけで(^^; そこがストーリーの肝だから文句をつけるわけにもいかないけれど、時代を感じた。
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2006年05月08日(月) ■ |
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ワームウッドの幻獣―クラッシャージョウ〈9〉(高千穂遙) |
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●読了:ワームウッドの幻獣―クラッシャージョウ〈9〉(高千穂遙)
内容(「BOOK」データベースより) ジョウにふたりの実業家から護衛の依頼がきた。ただ、この仕事はもう一組、ことあるごとにジョウのチームに敵愾心を剥き出しにする“地獄の三姉妹”クラッシャーダーナのチームも請け負っていた。仕事の皮切りにコンテスト会場でのテロリストの攻撃からクライアントを守ったジョウたちは、幻獣アバドンが棲息するという未踏の惑星ワームウッドに向かった。派遣された調査隊がすべて消息を断っている危険な星で、ふたりの実業家は幻獣相手に狩りの腕を競おうというのだ。
久しぶりにクラッシャージョウシリーズ。昔、ソノラマ文庫にドップリ漬かり込んでた時期があって、その名残りで今でも気が向くとわりと読む。 この人の描く女性って、私から見るとみんないかにも「男性から見た女」そのものなのに、読んでていやな感じがしないのがいいなあ。年の功かね。むー。今回は3人のアマゾネスが出てきて、アルフィンもそれに張り合ってみんなで大暴れ。とりあえず美人コンテストのシーンは楽しかった。ワームウッドに着いてからの展開は、あまりインパクトはなかった。ふしぎ生物の設定がありがちだし。できればストーリーの要であるテロリストの動機あたりがもっと深く描かれていれば、その後の展開にもっと感情移入できたかも。 ま、楽しかったからいいか。
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2006年05月04日(木) ■ |
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祝福の園の殺人(篠田真由美) |
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●読了:祝福の園の殺人(篠田真由美)
17世紀イタリア。侯爵モンタルト家別邸の、亡き女主人が丹精込めて造った庭園で男の死体が発見される。つづいて次々と起こる侯爵家に関わる者たちの不可解な死。渦巻く血の輪舞(ロンド)。“呪われた庭”に隠された真実のメッセージとは何だったのか?建築探偵シリーズで大人気の著者が贈る長編幻想ミステリ。
先日読んだ琥珀の城の殺人(18世紀ヨーロッパが舞台)と同系統の作品。ゴシックミステリというのかな。幽霊が山ほど出てきそうなお館を舞台に、伯爵だの美貌の未亡人だの、貴族の御令嬢という美少女だの放蕩息子だのがきらびやかに出てきて、連続殺人事件が起きる話。そこには華麗なる一族の呪われた秘密が・・・!という感じの。 ミステリとしての出来はともかく、私は舞台設定だけで8割がたお腹いっぱいになった。たっぷり楽しめたから満足。本書は「庭園」という一種独特で完成した世界が謎の鍵になっているのがおもしろいと思った。 ・・・どちらかというと琥珀の城の殺人の方が好みだったな。人物関係のドロドロぐあいが最高だった。
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