活字中毒のワタシの日記

2006年04月21日(金) 島田 洋七『佐賀のがばいばあちゃん』★★★★☆

佐賀のがばいばあちゃん
佐賀のがばいばあちゃん
島田 洋七
徳間書店 (2004/01)

あったかい本。

素直に、笑えた。
素直に、泣けそうになった。

心が軽くなった。

B&Bの島田洋七さんの、少年時代の「超」貧乏時代を祖母を中心に振り返った回顧録。
面白く、読みやすく(お笑い芸人が大好きで尊敬している私だけど、やはりわかりやすく面白く伝える能力が高いんだなぁと感心した)、あっという間に読めるのに、心に残る箇所が多い。

今なら、ほとんどのエピソード、語れるかも。

家の前のスーパーマーケット。それは、川。
上流の市場から流れてくるくず野菜を拾うばあちゃん。
年に一度のセールではごちそうが流れてくる。それは盆の供え物。

腹が減ったのは「気のせい」、腹が減って眠れないのは「それは夢」。
スポーツがしたいと言えば、金がかからないからと裸足で(靴底が減るから)走れ!というばあちゃん。
素直に思い込んで行動する洋七少年が、とてもいとおしい。

素直さは、人を成長させるといのは本当なのだなとこれを読むと思う。

笑えるエピソードが満載(何気なく書かれた「ばあちゃんは川で洗濯」だって思い描くと笑える)だけど、生活苦のため大好きな母と離ればなれに暮らさなければならなかった事情、貧乏故に不自由があったこと、順風満帆だったとはいえない過去。

それらを、笑い飛ばす強さ。明るさ。品の良さ。

それがまぶしい。

うらやましい。

「粗にして野だが卑ではない」
立派な長持ちも持っていた、気前もいいばあちゃん、そのうえに「品」ももっていた。

私もこんな風に生きていきたいと思った。
素敵な人生を、かっこよく楽しく生きたばあちゃんの人生を、語ってくれてありがとう、島田さん。

佐賀のがばいばあちゃん



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2006年03月31日(金) 群 ようこ『世間のドクダミ』★★★☆☆

世間のドクダミ
世間のドクダミ
群 ようこ
筑摩書房 (2006/02)

「あーちょっと一息つこうか。お茶でも入れようかねぇ」なんて感じで「ちょっと読もうかねぇ」と時折読みたくなるのが、群ようこさんの本。

特に先日『屍鬼〈上〉』、『ホワイトアウト』を読んでどっと疲れた(疲れる本じゃなく、私があの手の本は疲れてしまう。が、好き)読んだので、ライトなものが欲しかった。

いつものように、さらっと読みこなすだけかと思ったら、この本は違った。
軽妙だけど骨がある。

うんうん、そうだよね。
わ、すみません。

と「おばさんの文句」にうなづきながら読んだ。ふせんまではさんで。

共感したところ。

「責任は他人にとってもらうよりも、自分が自分自身のために取らなくちゃならないほうが、ずっと多い。心も痛いし、あるときは財布も痛い。しかしそれをしっかりと受け止めなくてはいけない。」(p33「自分の尻は自分で……」)

「被害者にしたら、泣き寝入りはしたくないのだろうが、泣き寝いりの種を蒔いたのは誰なのだ。」(p33「自分の尻は自分で……」)

「しかし男の子と付き合う本を読むよりは、実際に付き合う方がいいだろうし、旅行の本を読むよりは、実際にその場所へ行ったほうがいいだろう。私にはその行動力が足りなかった。だから本を薦めるよりも、とにかく何でも体験したほうがいいのではと考えたからだった。
しかし最近は、考え方が違ってきた。今の人は経験から何も学ぼうとしない。ただ目の前を現象が通り過ぎるだけで、自分なりの考え方など何もない。」(P62「楽しいから本を読む」)

「新聞はとらない」では新聞社のふざけた態度、勝手言う読者からの怒りの手紙にお怒りで、「挨拶してますか」で挨拶は最低限の礼儀だと嘆く。

ぷんぷん怒ってばかりかというとそうでもなく、祖母のかわいいモモヨさんの話や、ブラでびっくり『うそ乳』の話は笑えていい。

当たり前のことだよね、でもできてない人は多く、怒りたくも嘆きたくもなるよね、と共感する一方で、「今の人は自分のことしか、今しか考えてない!」には、ちと反省してみたり。

群ようこのエッセイは面白い。
私もこれくらい文才があればなぁ。

世間のドクダミ



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2006年03月30日(木) 山本 譲司『獄窓記』★★★★☆

獄窓記
獄窓記
山本 譲司
ポプラ社 (2003/12)

将来を嘱望されていた民主党の元衆議院議員が秘書給与詐欺の罪で訴えられ、有罪、実刑判決、そして服役、刑務所内での暮らし、出獄までを克明に記した手記。

ずっと読みたくて、やっと読めた一冊。

政治オンチの私は、この人が渦中にいた頃のころは記憶になく、辻本清美氏の秘書給与疑惑の際に必ず取り上げられていた元議員が、ああこの人なんだ、というレベル。
というか、柳葉敏郎主演のドラマで「ああ、そういえば」と思い出したのでした。

ドラマと比較する形となったのだけど、どちらも興味深かった。

塀の中のドラマをおもしろおかしく書くわけでもないのに、私含め多くの人が知らない獄中での暮らし、規則、空気、現実を伝えてくれる。

控訴を見越した裁判結果の偏り。
マスコミの無責任な書きっぷり。
名誉回復の難しさ。
障害を持った受刑者の処遇。
元議員への配慮。
監獄法の矛盾。
生まれたばかりの我が子と別れる切なさ。
「(名義借りは)自分だけじゃない」と言わない決意。
夫を支え続ける気丈な妻。

印象に残ったのは、福祉に関心や知識がある著者が所内で他の受刑者の法律相談の相手になるところや、刑務官との気持ちの通い合い、出獄後の再出発を阻む、国家資格取得のための条件、秘書給与詐欺は彼だけではないのに、沈黙し、スケープゴートにして切り捨てる政界。

この本で著者が一番言いたかったことではないだろうけど、とても共感したのは、

辻本清美はずるいな。

ということ。彼女も被害者であるとは思うけれど、してはいけないことをした。
彼が書いたものだから、それをさしひいても客観的事実で判断しても、彼女はずるい。

再び議員にしちゃう日本国民。
日本は平和なんだなぁ。

アマゾンのレビューにもあったけれど、難しい言い回しを時折敢えて使用しているのは違和感があった。「わ、また出た」という印象を受けたのは私だけじゃなかったかと。

文章を書くプロじゃない人が書いたにしては、読みやすく、中身もあってとても読みがいのあった本だけど、それがなくても知性の高さは伝わると思うのだけどな。

彼の前途が洋々ととしたものでありますように。
お子さんももう大きくなったのかな。きっといい子に育ってるね。

獄窓記



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