活字中毒のワタシの日記

2006年12月14日(木) 浅田 次郎『沙高樓綺譚』★★★★☆

沙高樓綺譚
沙高樓綺譚
浅田 次郎
徳間書店

読書するなら、こういうのが読みたいよね。と思えた一冊でした。

浅田次郎さんはいつも読み応えがあって、しかも読みやすく、面白く、好きです。

各界で活躍する名士たちが集まり、他言できなかった話を順に語っていく。
不思議な話あり、驚く話あり、恐い話あり。
参加者の一人に連れられて参加することになった主人公はそれらの話にひきこまれていく。そして読者である私も。

それぞれの話が独立していて短編集のようなものなのですが、私がここだけは読むといいよ!とおすすめするのは、ふたつ。

「立花新兵衛只今罷越候」と「雨の夜の刺客」。

続編もあるといいなぁ。
もしドラマ化されるなら、間違いなく女装の主人は美輪明宏さんですよね。

沙高樓綺譚



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2006年12月13日(水) 京極 夏彦『覘き小平次』★★★☆☆

覘き小平次
覘き小平次
京極 夏彦
中央公論新社

5冊目の京極夏彦さんです。

うーむ、面白い。というか、スキです、こういうの。

『豆腐小僧』もそうだったけど、登場人物があっちこっちぶっとんじゃってて、でも最後は納まるところに納まってスッキリ、というのは安心できますね。

このお話も、先が読めてしまったところはあるけれど、読み切れなかった伏線にはっとさせられたり、楽しめました。

そして、考えさせられました。

生きていること、死んでいること。

他人の心を、どこまで慮るのがよいことなのか。

口を噤んでしまうのは、いけないことなのだろうか。

生きている時から死んでるような男、小平次。

役者としては全く目が出ず、それでも幽霊役だけははまり役な、それほど存在感のない、いるだけで周囲の人間をいら立たせ不安にし、殺意さえ覚えさせてしまう、押し入れに引きこもった男。

その小平次が芝居の巡業先で巻き込まれた事件の真相は。
親を惨殺された歌仙の敵討ちは。
殺しと憤怒が日常の運平の悪事はどこまで続くのか。
お塚の恋の行方は。

心に残ったところ。

「『あなた様は--迷うことはないと仰せになった。そのままで良いと』
言ったかなと治平は恍惚ける。
『ただ--楽ではないとも仰った。確かに楽では御座いませんが』
私は私の在り方でしか居られぬと悟りましたと小平次は言った。」(p353)

死んだように生きていると妻に言われても、それが小平次の自然な振る舞い。

つらくても、それが自分の選んだ生き方。

読み進めるうちに、気持ち悪かっただけの小平次に気持ちが入っていく自分に気がつきます。小平次の気持ちがわかる。痛ましくなる。薄い小平次に厚みが増していく。

なんともいえない哀しみの残るストーリー。

覘き小平次



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2006年12月06日(水) 金子 由紀子『毎日をちょっぴりていねいに暮らす43のヒント―少しだけペースをおとし、もっと生活を楽しむためのアイデア』★★★★☆

毎日をちょっぴりていねいに暮らす43のヒント―少しだけペースをおとし、もっと生活を楽しむためのアイデア
毎日をちょっぴりていねいに暮らす43のヒント―少しだけペースをおとし、もっと生活を楽しむためのアイデア
金子 由紀子
すばる舎

やることなすこと雑なことにかけては誰にも負けない私。

でも、ほんとうはそうじゃない、ていねいな動作、ていねいな言葉遣い、ていねいな暮らしにあこがれてるのも事実です。。

そのためにどうしたらよいのか教えてください!という気持ちで読みました。

心に響いたところ。

「ていねいに暮らそうとするとき、重要になるのは、人から見えない部分なのだ。」(p21)

ゴミ出しがテキトーだったり、自分一人で食べるいい加減な昼ご飯とか、公衆トイレのペーパーを次の人のために補充しないとか、銭湯の洗面所に落ちた髪をほったらかしにするとか、誰も見てないけれど、そういうのを「気持ち悪い」と感じることが大事なのかな、と思う。
(ちなみに私は上記昼ご飯以外は気持ち悪いから「きちんと」したくてする方、食に関してもっときちんとしなくちゃいけませんね)

きちんと生きる→自分が気持ちよく豊かな気分で暮らす→使って楽しいものを使う→心が落ち着く、楽しい→気持ちよく豊かな気分で暮らせる→きちんと生きられる

といういいループをしていこうと著者は言います。

それらのモノを手に入れるには、まず自分がどういうものが好きでどういうものは嫌いかどうか、それを知ることから始めなければいけない。
自分だけの、自分のモノサシ、スタイルを手に入れること。

好きなモノを知り、それで揃えていけば、家の中は自ずと居心地のいい空間となっていくはず。

ヒントの一つで、記録をつけることの意義にも言及されています。
日記を書くことで、流れていく時間を一瞬せき止めて、自分の今たっている位置を確認する。
これまでの自分が見え、これからの自分をどう生きていきたいか、考えることができる。
悩みも書くことで、楽になったりする。
これはブログを初めとするウェブの活用をしていて私も実感しています。

「居心地がいい家に共通するのは、『絶対的なものの量が少ない』ことだ。」(p92)

「私の経験上、いい香りのする家はたいていキレイに片付いている。部屋に上がらなくても、玄関をあけた瞬間にわかる。(略)そこで、まず先に、いい香りで家を満たしてしまってはどうだろう?」(p110)

片づけがクリアできて香りを楽しむ余裕すらあるお家。
そこまでたどりついてからではなく、先に香りを楽しんじゃう。片付いた心地いい家の気分を味わえば、片づけも捨てるのも掃除も楽しくやれる、かもという提案。
これは採用したいと思います。

食にも「きちんと」という提案をされてますが、肌に触れる衣類に対しても同じ。
亜麻の一種であるリネンのよさにも触れられていて、試してみたいなと思いました。

服について。
おしゃれな人は、数量に関わらず、ていねいに着ていると。
ていねいに着るとおしゃれになれるのかな?というわけでもないだろうけど、繕い物をすることで心が落ち着き、きちんと感が満ちてくる、というのはわかります。
道具もきちんとそろえよう、とありますが、私のは兄の小学校のお古のソーイングボックス。
変えたいな、と思います。置いていて、手に取って、使ってて、楽しい、そんな裁縫箱はどんなのか、考えて選んで使うようになりたい。

「ていねい」って、わかってはいるけどついついあたふたばたばたしてしまう私。
そんな私へのヒント。

「『落ち着いて』『ていねいに』行動することが大切なのはよくわかっているものの、具体的にどうやったらいいのかわからないときは、とりあえず『ゆっくり』動いてみることだと思う。」(p158-159)

うんうん、これならできるかも。
焦っても早くならないから、ゆっくりやりなさい!ってコドモに叱ってるのにね。
自分だって同じ。

きちんとていねいに暮らす、それってやっぱりいいんだよね、そうしたいなぁ、という気持ちがなお高まる本でした。

なんだか、どこかでこういうの読んだような気がするな、著者ってどんな方だろう、と著者紹介を見たら、ALL About Japanの「シンプルライフ」のガイドをされてました。
なるほど、読んだ読んだそこも。

同じ一日なら、きちんと、ていねいに、ハッピーに暮らそう。

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