活字中毒のワタシの日記

2007年04月22日(日) 伊坂 幸太郎 『ラッシュライフ』★★★☆☆

ラッシュライフ
ラッシュライフ
伊坂 幸太郎
新潮社 (2005/04)

伊坂幸太郎さんの群像劇ははずれなしの面白さ。

まだ『死神の精度』とこの作品しか読んでないけれど、他の作品も面白いに違いない!と思えました。
しかもこの作品に出て来たあの人は別の作品にちょろっと出てくるとか、あの人はあっちの作品で、とかそういうのってとても読みたくなるのは私だけ?

錯綜する、別々の人生を歩く(迷走する)人々。
拝金主義の画商と買われようとする新人画家。
40社の採用面接に落ち家族にも見捨てられた男。
愛人の妻の殺人計画を立てる精神科医。
淡々と仕事をこなす一匹狼の泥棒。
新興宗教の教祖に惹かれるデッサンがうまい男と「神を解体しよう」という指導者。

プラス、さらなる脇役が彩りを添えながら、それぞれに進んでいく物語が、からみあったりすれちがったり、先が読めそうで読めないところにドキドキさせられながら一気に終焉へ。
読み終えた時にそれぞれのストーリーがすとんと落ちるところへ落ち、リストラ男の豊田のかっこよさが際立つ爽快な読後感。

小憎い小道具もぴりりと効いていて、本当に飽きさせないストーリー。
小説はまだまだ面白い!
楽しい時間をありがとう。

ラッシュライフ



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2007年03月29日(木) 舛田 光洋『3日で運がよくなる「そうじ力」』★★★☆☆

3日で運がよくなる「そうじ力」
3日で運がよくなる「そうじ力」
舛田 光洋
三笠書房 (2006/09)

ベストセラーの掃除で開運系の本。

何回も読んだけれど、おっしゃる通りだと思うけれど、なんだかひっかかるところがあちこちにありました。

期待しすぎちゃっていたからかもしれません。
あと、主張したいところが太字になっていたからもあるかも。(読者にとってその時重要なポイントは違うから、太字の部分(=心に響く箇所)は自分で選びたいので、私は太字多用の本はあまり好きではないのです。なんだか「ここで目からウロコを落とせ!」とか「ここテストに出る、重要」とか言われてるみたいで興ざめ)

ひっかかったところはどういうところかというと。

「部屋が片づいていないから仕事がうまくいかない、部屋が汚いからイライラするのです。」(p19)

そうかもしれないけど、そういう人もいるかもしれないけど、そうじゃない人もいると思うのだけど、そこまで言い切っちゃう?
売れる本は基本的には断定しないと、というのがあるかもしれないけど部屋さえ片づけば万事うまく行く、という強い思いにはちょっとついていけないな、と思いました。

「必要なものは、買わなくても与えられる!?」(p53)
「家庭不和はリビングから始まります。」(p88)
「娘が要らないものを捨てたら、必ず新しい絵本やおもちゃをひとつ買ってあげることにしています。」(p116)

このあたりはちょっと共感できませんでした。

が、掃除が苦手でズボラで怠け者でめんどくさがりでそうじ力がなくって運をいっぱい逃してるであろう私には目から鱗なこと、背中を押してくれること、やる気をくれるメッセージがあちこちにありました。

心に残ったところ。

「ゴミや汚れ、不用品などは、すべてマイナスのエネルギーを発する要因」(p21)

「たまりやすいものは、なくてもいいもの」(p41)

「『捨てる』を究めると、買うものの質が変わってきます。」(p52)

「本は保存しておくものでなく、そこに書かれている情報や世界を消化して、自分の中に取り入れるべきものです。」(p107)

「物理的に汚れを取ることで、自然と心の汚れも取れていくのです。」(p130)

「そうじは面倒くさくて大変なものではなく、自分が気持ちよくなるための方法。
前にも少し書きましたが、それこそ呼吸をするように一生つき合っていくものです。」(p206)

そうじをすると、何かが変わる。
少しずつでも変えていくことで、人生が変わる。

捨てはじめ、そうじを始め(なくっちゃな〜と気づき始め)、ブログを始めて、私の毎日もなんだか変わって来たようです。
どんどん、いい方向へ。

息をするように、きれいにする。

モチベーションをあげてくれた一冊。ありがとう。

3日で運がよくなる「そうじ力」



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2007年01月28日(日) 山本 ふみこ『台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活』★★★☆☆

台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活
台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活
山本 ふみこ
大和書房

三十代の初めに二人の子どもを抱えて、母子家庭へ。
勤めていた会社もやめて、フリーに。

新しい人生を始めるにあたり、たちまち貧乏になった著者が決意したこと。

「貧乏になったのなら仕方がない。貧乏を楽しもうじゃないの、と。」(p1)

これは赤毛のアンに出てくるアンの友人、フィリパ・ゴードンの台詞だそうです。

この思いを胸に、著者を鍛えてくれた日々。
著者が学んだこと。

「少ない材料で美味しいものをこしらえること、衣服を直したりリフォームすること、そしてものは少しだけ持ち、それを大事にすること。」(p2)

その「さかさに振っても何も落ちてこない財布」の日々が、彼女がほんとうにしたかった「少し」の暮しに導いてくれた。

そんな「少し」の幸せな暮しをかいま見せてくれる一冊でした。

心に残ったところ。

「なんでもない日々の、ほんとうはなんでもなくない幸せに、おめでとうを言おう。」(p25)

ちょっとした日常のよかったことを、嬉しがり、「おめでとうごはん」をこしらえる。
庭の花が咲いた。
試験が無事終った。
友だちから朗報が届いた。

そんな一つひとつをお祝いする習慣をつけたいな、と思いました。

時間の使い方について悩むというか、うまく使いたいと思っている私へ、参考になるパラグラフがp82-83の「家の仕事は朝のうちに」。
著者はたいてい5時台、遅く手も6時前には起床して早朝のうちに家事を終えてしまうとのこと。
テキパキこなしている人にどうも共通するらしき、この早寝早起きと早朝家事。

「でも、それは慣れだ。昼間は仕事をしなければならないから、家の仕事の五分の四くらいは朝のうちに片づけてしまいたい。そういうと、勤勉風だが、夜は九時以降、家事も仕事もしないで『くつろぎたーい』というのがいちばんの理由かもしれない。」(p83)

あああっ、私も言えるようになりたい。
なります。がんばるぞぅ。
だって、くつろぎたいもの。図書館から借りてきた本に手を伸ばしソファにごろんと横になる。そんな習慣をつけたい。

各家庭の洗濯物の干し方をチェックしてあれこれ想像しては楽しむ、という著者の洗濯物の干し方へのこだわり。私もそれ、わかります。
色とか、下着は内側とか、乾きやすいように、とか全体のバランスとか、考えながら干すのって楽しい。
任せる前に、家族への「干し方検定」を受けてもらうつもりだという著者。

「些細なことだといえば、それにちがいはないが、その些細がいかに暮しを語っていることか。」(p87)

一事が万事。
こういうこともおろそかにしないことが自然、になっていきたい。

片づけと掃除の相違にも言及。

「乱暴な話だが、『掃除』と『片づけ』を土俵に上げて闘わせたら、それは『片づけ』に軍配が上がる。たとえ掃除が行き届かなくても、片づいていた方が家はきれいに見える。」(p100)

なるほど。
確かに。
うちはその昔を思えば、これでもずいぶん片づきました。
だから安心しちゃって何もしない→掃除しないので埃がたまる→片づけたのになぜ?

そっか!
掃除の習慣がついてないから私のうちはスッキリしても(私基準)気持ちよくならないのね。
埃まみれだから。
掃除しないから。

やっと片づけの大切さに気づいて、やっと片づけを実行し始め、掃除の大切さにも気づいてやってみた、ところまでは到達できたようです、私。

あとはそれを維持すること。
(維持の前にまだ片づける場所やら最初の埃の塊をなんとかしなくちゃなところやら、あるのですけれども。)

日々続いていくものだから。
日々、ちょっとの掃除を。

次。洗濯機を持たない友人の話から。

「『みんなもっているから』という考え方、無意識のうちに物を必要だと思うクセこそ、手放さなければいけないのではないかしらね。もしかしたら、それがあるために使っているだけで、なくてもすむ、ない方がいいという物もあるのかもしれない。」(p138)

うちにも、まだまだない方がいいものがいっぱいあります。
そして欲しいなと思っているものの中にも、ない方がいいものもきっと。

著者は免許証も切れたままにし、車を運転する暮しと決別したそうです。

「手放したもの、それは移動の速度が遅くなったことで失った時間。
得たもの、それは速度がゆるやかになったことで、自分の目で見つけたもの。」(p153)

欲張りな私はほんと『モモ』の時間泥棒に時間を搾取されてる人間のように日々暮らしてます。
そうでないとやっていけない部分と、そうではなくてもいい、そうじゃなくてもいい部分を見極めて、自分を豊かにすることにもっと心を砕きたいとこの頃思うようになりました。

ゆったり、のんびり。
少しでも幸せ。
少しだから幸せ。

そんな日々に私もたどりつけますように。

台所で元気になる―したかったのは、「少し」の生活
山本 ふみこ



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