| 2007年05月06日(日) |
サニー シュレンジャー ロバータ ロッシュ『いつも時間がないA君と片づけられないBさんへ』★★☆☆☆ |
 『いつも時間がないA君と片づけられないBさんへ』 サニー シュレンジャー ロバータ ロッシュ Sunny Schlenger Roberta Roesch 藤本 直 幻冬舎 (2003/03)
時間と空間の管理方法について書かれた本。 「時間がない」と「片づけられない」をそれぞれ5つのタイプに分けて、それぞれに対策をあげています。 どれもこれも、心当たりがありすぎて、いたたたた。
心に残ったところ。
「最大価値をもつ仕事二項目をつきとめ、この二項目さえクリアすれば、あなたは自分の時間をベストの形で利用できたと言えます。たとえ残りの八項目の実現が不調に終わったとしても、価値の達成率からすると自分をほめてよいでしょう。」(p23)
これは、18世紀の経済学者ヴィルフレード・パレートの「パレートの法則」から。
その2項目を選ぶコツ。 以下を考える。
・自分がやるべきorやりたい ・自分のためor他者のため ・今すぐor後でも問題ない ・価値あるor至急
以前読んだ本で見かけてから、やってみたりやらなかったり、のリスト作り。 「重要で緊急」「重要だが緊急ではない」「重要ではないが緊急」「重要ではないが緊急でもない」 これは割と有効で、片づきました。 でも、「重要で緊急」に追われて、「重要だが緊急ではない」ことは結局手つかずだったりで、無力感に陥るることも多々ありました。
今私がしているのは、ノートに思いついたやることリストのできたものからマーカーで消していくこと。
書くことで「忘れちゃいけない」プレッシャーから逃れられるし、書いたことで忘れていない安心感が得られる。 あと、コツとしては「具体的に書く」こと。 なぜなら、具体的でないと取りかかるのに腰が重くなるから。
例えば撮りためたビデオテープをDVD化したい、と思った時。 「全部DVDにする」では絶対めげるので、「ひとまず集める」。 それができたら次は「ナンバリングをする」「DVDを用意する」。 次は「Macに取り込む」「チャプターつける」「焼く」「盤面プリントする」。
私の場合はそれくらい細分化してやっと達成ができるのですが、(もちろん、慣れてきたら「No.12を1枚焼く」でいけるようになります)小目標を達成し続け大目標を達成するとはこういうことかなと思います。
この本ではそういう「マスターリスト」と「デイリーリスト」を作成してチェックすることを進めています。
なんでも、「書く」ということが大事なんだろうなと思います。
他に印象に残ったところ。
「何かに不安を抱き、落ち着きを失った精神を元の状態に戻すには、すべてを自分がコントロールしていると納得できる、自分への自信につながる特定の任務を一つ実行することです。」(p46)
「あなたの行動、過密スケジュールの現状から得られるものは何か?」(p64)
モノを処分するのを迷う時、自分に問うようにしている言葉。 「これがあると私にとってどういういいことがある?」 これで不要なモノはたいてい見切りをつけられるようになってきました。 時間に関してもそういう意識を持つといいのかな。
「完璧主義タイプは、自らに課したハードルが往々にして非現実的、あるいは不必要な高さであることになかなか気づかないものです。」(p73)
この本は、いつも時間がないと慌ててる人を5つのタイプに分けていますが、そのうちの一つ、「アバウト・タイプ」へのアドバイスが私には参考になりました。
「・毎日のルーティン・ワークを決め、習慣付けする」(p86) 「・必要項目、思いついたことなどをメモに記録する ・メモの結果を観忘れることのない場所に留めておく」(p87)
ぎりぎりまでやらない「崖っぷちタイプ」(これも心当たりありあり)には、こんなアドバイス。
「五分間実行プランを利用する」(p123)
まず5分間だけやってみると。気の向かない仕事も取りかかってみると実はたいしたことはなく、やりとげてしまえるもの。やらないで逃げ回りぐずぐずしていることで浪費しているエネルギーよりはるかに少ないそれでこなせてしまうもの、と。 重い腰をあげるために、「ちょっとでいいから」と自分にうまく言い聞かせてみる方法も使えそうです。
と、ここまでは「時間管理」について。 後半はスペースの管理についてのアドバイスが続きます。
スペース管理をするとどういういいことがあるかというと、探し物の時間とお金を節約でき、能率効率創造性のアップだと著者はいいます。 ほんとにそうだと思います。
次は自分のモノの評価。 何をどれだけ、どこに、どのように持っているか。 どのように維持しているか。 愛着を感じているか。
それを自問自答しながら、すべてのモノについてチェックしていく。 ゴミ袋やあげる箱、保留箱、直す箱などを用意して。 (他にも細かいアドバイスが載っていますが、それはP130から10ページくらいを読んで下さい。ここだけでもいいかも)
それができたら、すっきりした状態を維持するためにはその後入ってくるモノに対してまた問う。 「必要か、使うか、スペースを用意できるか、そのために何かを処分できるか、どこに置くか決められるか」
スペース管理についても5つのタイプに分けてアドバイスが載っていますが、そのうちの一つ「病的整理魔」へのそれ。
「片づけは、一気に終えなければならない作業ではない」(p187)
やるからには徹底的にスッキリキレイにしなくちゃいけない、それも一気に、ああでもそんなの無理、と空回りしてやりもしないで疲れてしまう私にはこれは大事かも。 少しずつ、一つずつ片づけていく。 いつかゴールに辿り着けると信じて。実際そうなるはずだから、あきらめないこと、焦らないこと。
なおかつ「ずぼらタイプ」でもある私へは、次のコツ。
「一度に拾い上げるモノを一ダース程度にする」(p201) 「『どーたらこーたら』の言い訳を封印する」(p206) 「最重要のポイントは、もっと快適な環境のもとで生きたい、そうしなければならないという意識をもつこと」(p206)
人は変わるもの、変わりたいと思った時が変わる時。
そんな時に道しるべとなる観点は、 「1.あなたが求め、目指していること 2.そこにどう到達するかの手法 3.あなたの力が及ぶことと及ばないことの区別 4.リラックスすべきとき、またあなた自身を甘やかしてよいとき 5.ゴールに向けて頑張るべきとき」(p238)
時間は誰にも平等に与えらていて、生かすも殺すも自分次第。 スペースの活用方法も同じ。
せっかくならば、嬉しくなる、楽しくなるよう暮らしたい、過ごしたい。 そのためのコツが満載の一冊でした。
『いつも時間がないA君と片づけられないBさんへ』
|