活字中毒のワタシの日記

2007年11月08日(木) 小林光恵『「片づけられない女」は太る』★★☆☆☆


「片づけられない女」は太る
著者: 小林光恵
出版社: 新講社

片付けられない女であり、かなりヤバイ腹を持つ私としては気になるタイトル。

では片付けられるようになった女はやせるのか?(だったらいいなぁ)、片付けとやせることの指南をいっぺんにしてもらえたらありがたいよねーと思いながら読ませていただきました。

結論からいうと、目からウロコなことは特になく、片付けの詳細もなく、物足りない読後感でした。

タイトルは『「片づけられない女」は太る 』だけど、内容は『太ってた私は片づけられない女でもあった』が正解。
おすすめ!な本とはいえません。彼女の看護婦の本は面白かったのですけど。

といいつつも、心に残ったところ。

「前の自分はヘアドライヤーをコンセントに入れたまま放置していたのに、いまの自分はコンセントを抜いて本体にくるくると巻きつけ、所定の物入れに入れるようになった。」(p106)

そんな小さな進歩でも、その前の自分と比べて進んでいることを喜ぶ。自分で褒める。
他人と(たいていスゴイ人を比較対象としてしまいがち)比べて落ち込む必要はないと。ドライヤーの例え、小さなことをめんどくさがらずにきちんと、を習慣にする。
きっと太らない生活習慣に通じるものがあるのでしょう。

また、反動を利用しない、との提案も耳に痛いです。
思いっきり散らかったのをガーッ!と片付ける、そしてまた限界まで散らかす、ではなく、

「するすると流れるように太極拳の型のようなイメージで、立ち上がり、動き、座り、をするのがおすすめです。
 そうすると反動の戻りがなく、いつでもスタンバイしているような感じになり、動くのが億劫ではなくなります。」(p108-109)

ああ、あの人たちはこれができるようになって、実際してるんだなぁと実感。

他には片付けの時間をあらかじめ取っておく、人を招く、欲張らず少しずつする、などのアドバイスも。

あれ、振り返るとためになることが書いてありました。
物足りなかったのは、著者の片付ける前の惨状がそれほどインパクトなかったからかしら。
それともすごい散らかりっぷりに慣れてしまってるからかしら。

ともかく。

私も、体も心も家も定期的にメンテしていい状態を保てるようになりたいと思えた一冊でした。

「片づけられない女」は太る



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2007年10月31日(水) 吉田 太一『遺品整理屋は見た!』★★★☆☆


遺品整理屋は見た!
吉田 太一
扶桑社 (2006/09/26)

【出版社 / 著者からの内容紹介
孤独死、自殺、殺人…ひとごとのように感じられるかもしれませんが、それらはあなたの隣で起こっていてもおかしくありません。本書は、日本初の「遺品整理」の専門業者として、さまざまな壮絶な現場を経験してきた著者が記した46の「現実にある出来事」。あまりの凄まじさに「覗き見」の興味本位で読み進めていっても、そこからは現代社会が抱えている痛みや狂気が汲み取れます。圧倒的な読後感!】

心に残ったところ。

「孤独死に限らず多くの場合、人の死は突然起こります。
たとえ予測されたものであっても、死は生きている人たちの生活のリズムをくずし、精神的肉体的なバランスを失わせます。」(p111)

死後の遺品整理。
悲しみだけじゃない、実務の煩雑さ、遺された人たちの生活へのしかかる負担。
時間であったり、肉体的労働だったり、金銭的なものだったり、気遣いだったり。
(アパートで孤独死で発見まで時間がかかると死臭がものすごいそうです。)

そんなことも、生きているうちに考えておかなくちゃなぁと気づかされました。

生前から自分の遺品整理を依頼したという顧客の話にはとてもうなづけました。

孤独死が増えている現状、その死後の遺品整理に携わりながら著者が感じたこと。

「あのとき、一声かけてあげればよかった。そんな後悔をしないためにもぜひそうしてあげてください。」

遠く一人暮らし(に限らないですね、孤独って)の親戚や家族に、自宅に招いたり食事をしたり、といったことを提案。

自分もされて嬉しいことは、人にもどんどん、でも無理のないようにしていくこと。
ちょっとの気遣い、絵はがき1枚、それが違った結果を生むのかなと思います。

教職だった故人の遺品整理をしていてアダルトビデオのコレクションの山を片づけながら感じたこと。

「もし、あなたの身に万一のことが起きたら…。
人に知られたくない、見られたくない、あんなモノやこんなモノ…。さて、あなたはそれらをどうしていますか。」(p169)

一昨年、手紙の整理をしました。
今年、写真の整理をしていて、泥酔してひっくりかえってる写真などどんどん捨てたけど、まだ残っています。
来年、日記の整理をしようと思います。ほんと、しなくちゃ。

「いつ自分が死んでも、残った家族や周囲の人に迷惑をかけないように用意しておくということは、『充実した今を生きる』ためにとても大切なことではないかと、この仕事をしていて思うようになりました。」(p220)

自分がいなくなった後に事務処理で困らないようにと「もしもリスト」を作り始めました。著者が言うように、死ぬためではなく、充実した今を生きるために。

心置きなく生きて、心置きなく逝けたらいいなと思います。

誰もが尻込みする、でも誰かがしなければならない遺品(=遺体の一部だったり死臭がしみついていたり)整理の仕事を使命感を持ってやってくださる方がいることに、ほっとできました。

著者の会社→キーパーズ

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2007年10月30日(火) 桜井 公子『どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」』★★★☆☆


どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」
桜井 公子
大和出版 (2004/03)

ADHDとは。

「注意欠陥多動性障害」のこと。
集中力、注意力、衝動性、多動性などを自分でコントロールしにくい脳のクセをもっている。

私自身がそうかどうかは診断してないのでわからないし、かなり思い当たることがあるけれど、ズボラなだけのような気もするし。

診断つくつかないよりも、生きづらさを減らしていけたらそれでいい。
(薬の服用が必要な人はもちろん診断が必要ですね)

ズバリADHDの人から、ADHDかなあ、という人、時々こういうことあるなぁという人まで、問題を前向きに捉えて対処していくためのヒントをわかりやすく教えてくれる本でした。

心に残ったところ。

片付けのコツ。これ、ものすごく重要。そしてできてない、と思いました。
書き出してどこかに貼っておこうかなと思ったくらい大きくうなづいてしまいました。

はじめたことは終らせる
完璧主義をめざさない
分野別に収納する
リミットを決める
「捨てる」痛みを感じる(P33-37)

「いつも首まで『やるべきこと』に浸かっている人生から、『自分が心身ともに本当にしたいと思うこと・必要なこと』をする、自分のための人生をめざそう。そのためには、『今、何をするか』『これから、何をしたいのか』を自分で調節し、決めていくこと』(p68)

具体的には、緊急ではないが重要なこと(手紙を書くとか)のための時間をあらかじめ確保しておくとか、忘れないように工夫するとか(手帳に書いて見返すとかブログを書くとか、10大ニュースもこれかも?)、追われてる自分がほっとできる時間をもつ、といったことがいいようです。

昔から、自分と周囲との「ズレ」をふとした時に感じることが多かったのですが、それってこれか!と思いました。

「ADHDタイプの人って、傍目にはぼんやりまったり見えるけど、頭の中は『最善を尽くすために必死』なことが多い。
理想はすごく高いのだ。ただ、行動が伴わないだけで」(p88)

エコ生活っていいみたい、と思ったら極端に走ろうとして、できなくて燃え尽きる、とか。しょぼいスクラップブッキングじゃダメだ、というわけでいつまでも写真が片づかない、とか。節約のために、とガソリン代使って遠くまで買い物、とかいった本末転倒な羽目になったり。
ブレーキとアクセル同時に踏み込んで煙が出ている、そんな状態。

著者の提案は、そんな不器用な自分を受け入れて、ハードルを下げようというもの。

生活の時間的、空間的、精神的コストを見直す。
例えば食洗を買う。それで財布は軽くなっても、心も軽くなればコストに見合った効果があったことになる。
これは8年迷った末にやっと実際導入した我が家ではいたく実感しています。

とにかく理想を高くもってしまいがちなADHDタイプは、理想と現実のギャップをしっかりと踏まえて、トータルでプラスとなる選択をするのがいいと著者はおっしゃいます。

ついつい買いすぎてしまう、買うことに満足してしまう(そして収納できない、使いこなせない、ガラクタとしてしまう。そして憂さ晴らしにまた買う、と)ADHDタイプへのアドバイス。

「1.必要なモノ、好きなモノだけに囲まれて暮らす」(p103)

2.から4.までも御役立ちですが、ぐっときたのは1.とこちら。

「5.『物欲ボード』を作る」

ボードを用意して、カードに欲しいモノを詳しく書く。写真などもあるとなおよい。
欲しい順番に貼付けて行く。
優先順位がチェックして、変更があれば変えていく。

ブログで欲しいモノリストを作ってますが、それと同じことですね。
あたかも買ったかのような気になれる。
買う前にじっくり考えられる。
本当は欲しくなかったモノを振り落とすことができる。
優先順位を考えることで、自分に本当に必要なモノがみえてくる。

こうしたコツを生かして、自分の衝動性ともうまくつきあっていきたいと思います。

立ち読みされるなら、P150からの「ADHDサバイバル15ケ条」だけでも参考になるかも。

いくつか私のぐっときたところ。

「長い目で見て、今のままでいいかな?」(p151)

「いつも『今一番大切なのは何か』ということを思い出せるようにしたい。」(p151)

「『完全でなくていい』と自分に言いきかせて、『やるべきこと』を一つ一つ区切りをつけて、仕上げていく練習を。」(p152)

「不得手なことはトレーニングをしたり、思い切って人に頼むなど工夫を。得意なことはちゃんと伸ばして、生かしていこう。」(p153)

「病気も放置しがちなので、生活の中でそれらを定期的にメンテできる習慣やリズムを作ろう。」(p154)

「『家族や友人と交流する時間』『自分一人でほっとする時間』など、仕事、雑事から離れる『時間枠』を作ろう。」(p156)

「職場、家庭、交友関係などで『居心地の良い、ここにいていいんだ、と思える居場所』をたゆまず探しつづけよう。」(p157)

そして一番大事なこと。

幸せにいきるために。

「以上のすべてを楽しんで自分らしくやろう」(p158)

どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」



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