活字中毒のワタシの日記

2008年06月28日(土) 阿部 絢子『これならできる家事整理術』★★★☆☆


これならできる家事整理術
阿部 絢子
講談社

心に残ったところ。

「ここまで溢れさせないためには、『履き捨て』の意識を導入しなければならない!と気づいたのです。『捨てる』という言葉は、私たちにとって禁句ですが、それより『持ちすぎ』のほうが、ムダが多く、わずらわしく、気持ちの負担も多く、禁句としなくてはいけないのではないでしょうか。」(p39)

以前は使えるモノを捨てるのも抵抗があったし(今もないわけじゃない)、置いておける限り取っておけば(いつか使うかも)と思っていました。

が、今はそのスペースがもったいない。
探し物や掃除に余計な時間がかかるのがもったいない。
捨てた方が豊かに生きられる。

と思うようになりました。実践はまだ途中ですが。
なのでここにはとても共感しました。
でも心に残ったというかひっかかったのは、やっぱり今も捨てちゃいけない、禁句を口にし、捨ててることに対する罪悪感が自分の中で大きいからなのかもしれません。

「私たちは、あまりにも目標を高くしすぎているのではないか。雑誌の住宅は撮影のためにその空間だけキレイにしつらえた、いわばフィクションなのです。私たちの生活と比べられるものではないのです。ここをハッキリさせ、目標をもっと違うところに置くと、掃除は違った作業として生活にとけ込んでくるはずです。」(p68)

確かに、ゴミ箱がからっぽどころか、ゴミ箱置いてないやん、てことも最近モデルハウスの写真を見てて思うようになりました。アレはどこに置くの、とかアレの時はどうするの、とか、生活感をなくしすぎてる写真にはあこがれることもなくなってきたかも。
といって生活感ありありだと素敵に見えないだろうし、作り手も苦労してるんでしょうね。

「掃除嫌いが、簡単には好きになることはおそらくありません。でも、心地よく生活したい、と思い続けると、散らかったら元に戻す、汚れに気がついたら落とす、ホコリがあれば取る、っといったことが苦ではなくなり、自然に掃除と呼ばれる作業ができます。だまされた、と思って続けてみてください。」(p68-69)

掃除が好きになることはおそらくない。

あ、好きにならなくてもいいんだ。好きにならないままでも掃除ができるようになるんだ、とほっとできました。

掃除じゃなくて、汚れた時にちょっとキレイにする。
これだけで構えて掃除!としなくても適度にきれいな心地よい環境を手に入れることができる。なるほどー。
で。できるかというと、習慣づかないことにはどうにもならないわけで、そこが一番難しい。

それでもきっと、これしかなんだろうな、と思います。

掃除嫌いだから、掃除しないで済むようにする。

それにはちょこちょこ掃除、と。

torizoh師匠が言ってたそのまんま。

嫌いな掃除を少しでもやりやすくするコツとして紹介されていること。

例えば深呼吸。

そして、気合いを入れた掃除!ではなくて、あるものでとりあえずテキトーにしておくこと。時間も労力もかからずにいい加減で楽してできれば、つらくないから続くよね、と。

わかります。
一回きれいになったところはその後きれいにするのはすごく楽。
汚れはためちゃうから落としにくくなる訳で、汚れてすぐなら簡単にきれいになる。

でもさー。

と言いたくなる私、その理由がわかりました。

この「とりあえず、ちょこっと、その時」掃除って、とりあえず一度はきれいになった状態でないと無理。
まずはそこまでいかないとダメなんじゃないかと。

ギトギトのレンジ台をウエスでちょこっと拭きしたってほぼ無駄といっていいだろうし、一度は大掃除級の作業を終えたところがスタート地点なんだと思います。

我が家はスタート地点に立てたところもあるので、それに関してはとても共感。
楽さを知ってからは、大変になる前にやっとこう、と思えます。
が、まだスタート地点に立ててない場所に関しては、これは使えない。
そのためのモチベーションアップは別の本でさせてもらった方がよいのでしょう。

冷蔵庫について。

「腐らせない、カビさせないためには、食品がよく見通せるように庫内を整理します。」(p132)

常備品の位置を決める。
見えるようにする。
取出しやすく、戻しやすい。

これがポイント。

捨てることについて。
家の中を旅するように、出会いながらモノと向き合って決断していきましょう、と提案されています。

「旅して未知に出会うことが整理につながります。発見したモノをどうするか、です。そして、それが整理です。(略)始末するのか保存するのか、これが整理なのです。
せっかく未知と遭遇したにもかかわらず、そのまましまったのでは、整理になりません。面倒でしょうが、最後は必ず整理し、モノになんとか始末をつけなければならないのです。」(p169)

最期までにはしておきたいもの。

そのためにいいものというか、必要なのが、チェックリスト。
自分のものさし。

これがあれば、いつまでも先延ばしにすることなく、悩み続けることなく、整理ができます。

今後使う予定がない、とか修理してまでいらないな、とか死ぬまで取っておきたいな、とかあると嫌な気持ちになる、とか今度あれに使おう、とか1年たってもこのままだったら捨てよう、とか。

それでも捨てられないという人への最強?のアドバイス。

「もし、火事になり、どれを持ち出すか、と迫られたら、何を残しますか?」(p170)

「ほんとうに『もったいない』のは、整理せず、使いもせず、人にも譲らず、有効活用もせず、モノをしまっているだけの状態です。それはムダなスペースを使うムダな行為、ムダな保管なのです。
 もったいないという言葉の呪縛にとらわれず、ほんとうは何がもったいないのかをよく考えることです。(略)しっかりと現実を見て、時間や空間を効率よく活用できるように、始末すべきものは始末する、と考え直した方がよいでしょう。」(p172)

もったいないが美徳の、戦前の捨てられないためこみ世代に対しても、ぴしゃり。

「もったいないと、と言い続け、ためにため込んでしまったモノたちです。これをいったいいつ、どこで、誰が整理し、始末できるというのか。想像しただけで、私は真っ青になります。」(p172)

捨てることがいいことじゃない。
できれば捨てないですませたい。
でも捨てないことには始まらない。
だったら、「もったいない」に幻惑されないこと。

まだまだ、我が家は課題がいっぱい。
ということに気づかせていただいて、感謝です。

最後に一個苦言です。
この本のマイナス点。ページ数が右ページにまとめて書いてあるので、メモを取る時に見にくいです。デザイン上の判断なのでしょうが、視線の動線を考えた時に、左見て右見て考えて、という手間が増えるのはちょっとね。(私がアホなのもあります)
スムーズな家事整理術の本だけに、つっこませていただきました。

これならできる家事整理術』(Amazon)
これならできる家事整理術』(楽天)



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2008年06月27日(金) 大塚 敦子『モノとわかれる! 生き方の整理整頓』★★★★★

モノとわかれる! 生き方の整理整頓
モノとわかれる! 生き方の整理整頓
大塚 敦子
岩波書店 (2005/05/12)

再読。

今回、響いたところ。

「オーガナイザーのなかには、実際に片づけに入るまえに、クライアントに自分がいちばん求めていることをリストにして書かせ、それを家の真ん中に貼る、という人もいるそうだ。家族、友情、仕事の成功、旅など、自分の人生を構成しているさまざまな要素を重要な順に整理することによって、何を捨て、何を置いておくのかを決める基準にするのだという。」(p4)

「そこで、テディは、はたと、自分もものに埋めつくされた生活をしていることに気がついた。私はなぜ、こんなにたくさんのものに囲まれて暮らしているのか?もののおかげで幸せになれたか?心の病は癒されたか?答えはノーだった。」(p10)

「それまで自分が抱え込んでいたものを見ると、実際は好きでもなかったものをたくさん持っていたことがわかったわ。そのために、ほんとうに大切なものは、ほかのものの蔭に隠れてしまって見えなかったの」(p13)

「手放さなければまえには進めないし、現在を生きることはできないのに……」(p13)

「『最初からどんどん捨てる必要はないのよ』と、テディは言う。
『決めるのにゆっくり時間をかけてもいいの。どんな別れでもそうじゃない?ものと別れるときも、自分にとって優しい、穏やかなやり方ですればいいのよ』」(p26)

「山を眺めながら、私はほんとうにこれを必要としている?心から好きなの?と自分の内なる声に耳を傾けるの。何を手放すかを決めるというより、何を置いておきたいかを考えるのよ。そうやっているうちに、自分にとってほんとうに大切なものは何なのかが見えてくるから……」(p26)

「『いつか使うかもしれない』もののために、現在の生活スペースが狭くなって不自由な暮らしをするなら、それは『いま』を生きていないということになる、とテディは言う。」(p26)

「生活オーガナイザーと出会ったことで、自分がどんなことに喜びを感じる人間なのか、何を必要としているのか、自分にとっての優先順位が少しずつわかってくるようになった。」(p80)

「『生活を複雑にするのは簡単だが、複雑になってしまった生活をシンプルにするのはとてもむずかしい』」(p93)

わかちあいについて。

「『いつか使うかも』と思ってものをため込んでいたときは、自分(とせいぜい家族)のことしか考えていなかった。そこには、そのものが自分以外の誰かの助けになるかもしれない、という発送はすっぽりと抜け落ちていたのである。」(p95)

「『ものをあげるんじゃなくて、どうやって、ともに時間を過ごすか、どうやって何かを”いっしょにする”かを考えないとね』」(p109)

「家族や友だちといっしょに、料理をするとか、絵を描くとか、散歩をするとか。ものをあげるより、そんなふうに楽しい時間を共有することのほうが、どれだけ豊かな愛情表現になるかしら……」(p109)

モノとわかれる! 生き方の整理整頓



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2008年06月22日(日) 荒井 菊子『捨てる美徳・捨てない美徳』★★☆☆☆


捨てる美徳・捨てない美徳
荒井 菊子
文芸社

数々の捨てる本(大塚さん風に言えば、レット・ゴーさせる本)を読んできた私には、この一冊は「捨てる美徳とかいうけど、捨てない(捨てられない)美徳にもっと目を向けよう」という立ち位置で書かれたように感じました。

ぶっちゃけ、何でもかんでも捨てないわよそれが何か!って感じを受けました。

著者の「捨てた方がすっきりしていいんだろうけど、やっぱり捨てられないわ〜戦前だもの〜でも〜」という揺らぎが読んでてちとつらかったです。

著者は昭和6年生まれの知性と行動力にあふれた女性。

子どもが独立して広い家から二人暮らしにちょうどいいサイズの家に引っ越し、たくさんの物を処分したそうです。
8LDKの戸建ら3Kだから、相当な量だったと思われます。

心に残ったところ。

「妙秀さんは着物をよそからいただいたりすると、縫い直して困っている人にあげたり、小物を作って人にあげたりして本当に欲のない人だった。だから妙秀さんが逝ったあと、身辺には何も残らず、単衣と袷が1枚ずつだけだったそうである。」(p13)

妙秀さんとは、本阿弥光悦さんの母上だそうです。
立つ鳥後を濁さずとはまさにこのこと。
とうていなれるとは思えないけれど、こういう方がいらっしゃることを心に留めておきたいと思ったエピソードでした。

…と、こんなエピソードがあったりするので著者の目指すところもそうかと思いきや、その逆のようで。

辰巳渚さんの著書『「捨てる!」技術 』で捨てられない親世代にも向けられた「それでも捨てなさい」というメッセージに対して背筋が寒くなるという著者。

「何も急いで捨てることはない。人それぞれの人生が終ってから捨ててあげてもいいのではないだろうか。それまで、人は自分の好きな物に囲まれて生きる。それだっていいのではないか。人それぞれの価値観は違うのだから。」(p45)

「人それぞれ価値観が違うのだから、たとえ親娘、兄妹と言えども、捨てなさいと言うのは傲慢とも言えるのではないだろうか?」(p35)

…よくわからなくなりました。
価値観の違い、価値観の違い、って要するに自分のすること(捨てないこと)に文句つけるな、ってこと…?

ここを読んで思い出したのは、余命数ヶ月の片づけられない女性の家財の整理で大変な思いをされたご家族の女性のブログと、遺品整理のプロが書かれた『遺品整理屋は見た!』。

人生が終ってから捨ててあげても…って、自分の死後、お片づけは任せた!私は生きてるうちはしたくないから!ってことだと思うのですが、それってどうかと。
著者は戦前の方だし、おそらく堅実にいいものを大切に長く使われてきただろうし、物がそんなに多すぎることもなく、ガラクタに囲まれて身動きがとれない状態でもないんだと思います。
だから遺品整理といってもほんとに彼女の場合はたいしたことがないのでそうおっしゃっているのかもしれません。それこそ、理想。

『あした死ぬかもしれないなどと言わないでもらいたい。』(p46)『そんなこと今から考える必要はないと思う。』(p48)とおっしゃる著者は、きっと毎日を悔いの残らぬよう過ごしてらっしゃるのだと思います。
それも理想。

そんな理想の過ごし方ができてない自分は、やっぱり遺品どころかガラクタ、ゴミの山を少しでも減らしていかなきゃいけないなぁと思います。
ほんと、「死後は任せた!といってもあんだけしかないから大丈夫だよね」と言えたらいいなぁ。

でもやっぱりひっかかる。

「捨てるのはいつでも捨てられる」(p58)

生活に支障がなければ何でもかんでも慌てて捨てなくてもいいじゃないかと著者はいいます。

捨てるのは、何でもかんでも捨てたいからではなくて、捨てるのがいいことだからではなくて、自分が気持ちよく暮らしたいから。
と、私は思うようになり、捨てることに向き合っています。
また、いつでも捨てられる、はウソだとも。その考え方ではいつまでたっても捨てられない。

その辺の価値観(出た!)が違うんだろうなぁと思います。

共感できたところ。

整理整頓、収納術について。
「なんでも、自分の考えでやらなければモノは片付かない。」(p69)

着物は一点物を。
「自分の体に合うし、一点物だから決して飽きがこない。」(p106)

ゴミの処分に関するトラブルについて。
「大体、物が多すぎるから、こういうことになるのではないか。物あまりだから捨てる。それなら始めから買わなければよいのだ。」(p114)

捨てることに対して、いろんな考えの方がいらっしゃる、そしていていいのだ、自分のスタイルを持つというのは大切なことだなと思えた一冊でした。

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