TWILIGHT DIARY
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今日の昼間、BSで義太夫の故竹本越路太夫の追悼特集をやっていた。
偶然、TVをかけたら、ちょうど文楽の出し物が映し出されていた。 極上の太棹の義太夫三味線に語り。なんだか泣けると思って見ていたら、 越路太夫の追悼特集であった。
この人の名前や、お顔をちゃんと認識したことはないが、 謡う声は、まさしく義太夫そのものの声であり、記憶に残る声である。
師匠の三味線と合わせの稽古の途中に、あまりに師匠の三味線が良いので、 一瞬、泣けて謡えなくなった事があるそうである。
特集の最後に、その師匠との稽古で謡えなくなった文楽の出し物、 「菅原伝授手習鑑」の桜丸切腹の場面の模様が流された。
訳あって、桜丸は父から渡された刀で切腹をしなければならない。 再会したばかりの父から言い渡された無念の切腹である。 その父も桜丸の妻の八重も、果てた桜丸の傍らで、 おいおい声をあげて、泣くのである。 同時に、語る太夫も泣いて語るのである。 会場から、掛け声があがる。 本物の最高の舞台である。
浄瑠璃の人形に、生命が吹き込まれるのはこの瞬間ではないか。 声の持つ生々しい説得力は、人の無念さや、愛憎までをも人形を通して表現し、 人形に魂を与え、見ている人々に感動を与える。
番組の最後に、もうこの世には存在し得ない太夫は「もう一生ほしい」と言った。
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