TWILIGHT DIARY
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2002年11月08日(金) リヒテル。。

深夜、帰宅してBSをつけたら、
リヒテルのシューベルトコンサートの模様が映しだされた。

私は子供の頃、リヒテルのレコードをよく聴いていた。

はず、なのである。
神経質そうな、リヒテルの顔のジャケットを今でも憶えているが、
はてさて、何の曲を聴いていたものか、すっかり忘れてしまっている。

何枚かのリヒテルのピアノソロのレコードの、
どれを聴いていたのかを忘却している。
幼稚園か小学生の頃である。

TVのリヒテルは、すっかり高齢の大先生になっているが、
音の響きやタッチは、力強くて重く、ある時は軽くて繊細だが、深い。

これはヨーロッパの音だなぁ、と思う。

深い森や、大きな美しい噴水のある、たくさんの薔薇が満開の庭園のある古い城。
日傘をさした女性や、白いセーラーを着た、頬がばら色の子供たち。

リヒテルの音を聴いていると、ヘッセやトーマス・マンの世界になってしまう。

残響音も何だか良いなぁと思ったら、会場には日本人はいない。
日本のホールではないらしい。
拍手まで重く響いて、良い音に聴こえる。
字幕によると、ホールはイギリスのサフォークにある、
スネイプ・モルディングス・ホールだそうである。

アンコールが終わっても鳴り止まぬ拍手の中、
シューベルトの多分年代物であろう筈の、すっかり茶色になった譜面を、
先生は大事そうに抱きかかえて深くお辞儀をし、コンサートは終わった。

映像は1977年の録画映像であった。













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izumi [HOMEPAGE]

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