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2006年10月01日(日) 「一所懸命」が技術を越えるとき〜勧進帳の松緑。

TVで、先代尾上松緑の勧進帳を見た。

勧進帳は、頼朝に追われ、山伏姿で逃げる義経一行の安宅にての話だが、主役は武蔵坊弁慶である。

関所にて色々とやりとりがあって、結果的に見逃してくれた富樫に弁慶は深くお辞儀をして、最後には六法で花道を去って行くのだが、その去っていく弁慶の松緑がなんとも涙が出るほど素晴らしい。

どんな事をしてでも義経を一刻も早く遠くに逃したい、後ろも過去も振り返らない、その弁慶のひたむきさが松緑に乗り移ったかのように全身にみなぎり、前へ前へと六法を踏ませるのだ。

身に付けた高い技術をも越えてしまった一所懸命さ、謙虚でひたむきな姿勢、その純粋な魂の存在が観ている者の心にひしひしと伝わって来て、感動せずにはいられない。
多分、それは芝居の醍醐味という物なのだろう。


随分と長い間、この醍醐味という物を忘れていたなぁと思い出させてくれた松緑である。








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izumi [HOMEPAGE]

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