遺書

2010年03月02日(火) 1920 病室

目を開けて飛び込んでくる惨状を一瞥して
口まで出かかった言葉を、吐き出せずに、飲み込んだ

―其れは唯、朝日が射し込む私の部屋だった

 嗚呼、現実を悲劇と呼ばず喜劇と呼ばず
 ただ日常の繰り返す場所だと捉えられたのなら

 生きるでもなく死ぬでもなくどちらも選べず選びたがらず
 私がそういう人間であれたなら

 私はどれだけ幸せだっただろうか

 夢を見れば現実を見れず
 不幸に落ちれば幸せを思えず
 死を前に、生を思えず

−此れは唯、朝日が射し込む私の部屋だった

現実のような夢なのか 或いは、現実のような、現実なのか
閉じても開けても変わらない瞳を私は閉じる

生きていることが怖いのだ
もう、何も無いというのに
生かされていることが、怖いのだ


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