あたろーの日記
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風邪で土日自宅に大人しく(また)していたので、話題がありません。 なので昔ばなしを。
大学で考古学を専攻していたために、私の学生生活は、発掘と、講義と、アルバイトで明け暮れていました。他の友達とかなりズレていた、と、今でも言われます(笑)。 発掘っていうのは、遺跡で何かが見つかってテレビで報道される場面で想像しがちなんですが、結構重労働です。地面にしゃがんで竹べらで・・・なんてのはもう作業も落ち着いた時の話で、最初の頃は竹べらどころか、「エンピ」「ジョレン」「ネコ(一輪車のことです)」を使って遺構のある層めがけてひたすら掘り進む、地道で泥まみれの日々です。 そこに近所の人達が通りかかると決まって「小判が出るのか?」とか、「恐竜の骨探してるのか?」とか聞いてくる。・・・ちょうどテレビで「徳川埋蔵金」とかやってたころだったので。で、発掘の目的が小判でも恐竜でもないと知ると、皆「なあんだ」と言いながら去っていく。地味な作業です。 発掘に行くと、基本的に男も女もないから、掘る時に出た土をネコ(一輪車)に乗せて運び出す仕事も、男女平等に分担します。私はよく途中でひっくり返して土をばらまいて叱られてましたな。 考古学の先生というのは大抵大酒飲みで一風変わったお人が多い。 私の恩師も、かなり変わった人、というか困った人でした(笑)。 お酒を飲みだすと止まらない。翌日仕事があろうが何があろうが、飲み始めたら夜明けまで。。酒に付き合う相手がやがて逃げ出しても、行きつけの店に行って飲み明かし、他の客相手にさんざんクダをまくジイサマ(年齢よりかなり老けて見えるので・・)です。まあ、私もこういうセンセにお酒のほうを鍛えられてしまったような気もするのですが。 で、翌日。 夏の炎天下で、発掘作業を黙々と進める私達。 ・・・せんせい、来ないね。 ・・・昨日また飲んでたんだろ。教授会の後は必ず荒れるからね。 とそこへ、周囲の犬達に吠え立てられながら、お酒の匂いをぷんぷんさせて、白髪(というかニコチンで黄色くなった白髪)の酔っ払い登場。 ・・・来た! ・・・やだまだ酔ってるじゃん。 しーんと静まり返った現場。先生と目を合わせないように(標的とならないように)黙って地面をひたすら掘り進む学生達。そこへ。。 「おーい○○ーッ」(○○は私の名前です) 「・・・」(無視する私) 「不倫しよーぜー」 「・・・」 「不倫しよーぜふーりーんー」 ったく土かぶせてあげたくなりましたわ。セクハラ教授と訴えるような学生がいなかっただけ、幸せだと思って頂きとうございますね。 夏休みずっと発掘していて就職活動するのを忘れておりましたら、その先生に、しばらく学科の仕事をやらんか、と言われ、卒業後しばらく大学に残って働いていました。 先生方の講義の準備の手伝いをしたり、学生さんのお世話をしたり、結構楽しかったです。 で、先ほどの私の恩師。 朝私が一番乗りで出勤すると、研究室のドアの前に先客がいる。 ごろーんと寝転んで大いびき。顔真っ赤。。 ・・・げ。また朝まで飲んでたんだ。 仕方がないのでずるずると引っ張って、先生の個室まで連れて行く。 ダンボール(こういうときのために常備してある)をひいて、その上に寝かせる。で、1時間目。出席簿持って教室に行く。私の姿を見ると最初は喜んでた学生達もしまいには不満そうに「また休講ですかぁ?」とか「酔っ払って来てるんですよね」とか言ってくる。たのむ私に文句言わないで。 研究室に戻ってしばらくするとブーッと内線電話。受話器をとると、 「おえーっおえーっげええええっ」 ・・・はいはい分かりましたよ。 水を用意してセンセの部屋に行く。 げーげー言ってるそばでセンセのボロい鞄を開けて中から「大田胃酸」を出す。 「出席とってきましたから」 「うううううっ。おえーっ」 「酔いが醒めるまでちゃんと寝ててください」 まあ、当然毎回こんな感じというわけではなかったけれど、よくありました(笑)。 ウルトラマン怪獣の」「ウー」に似てて(すいません)、なんとなく妖怪風情でしたな。 だけど人情のある、話の分かる先生でした。 なんて書くと、「俺はまだ死んでねえぞっ」とどっかから出てきそうですが。。 相変わらず飲んでるのかなぁ。 まだヘビースモーカーなのかしら。
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