信号をイライラしながら待っているいると、後ろから肩を叩かれた。 誰かと思い振り返ると隆史だった。彼は軽い感じで手を挙げオッス!っと一言だけ言った。 驚いた僕は『どうしたんだよ!久しぶりじゃないか!』と周りの人も思わずこちらを向くような大きな声を出してしまった。 まあ、気にするなよ!そんなに長くはいられないんだ・・・と隆史はそう言うと笑顔をこぼした。 しかし僕にはその意味が全く理解する事が出来ずに首を傾げてしまった。『どうしてそんなことを言うんだよ!久しぶりに会ったんだ!ゆっくり話しでもしようぜ!』 『いや、ダメだよ。もうすぐ行かなくちゃ!』 『どうして?何処に行くんだよ!』 『いや、帰らないと行けないんだ。兄ちゃん今までありがとな。俺のコト大切に思ってくれてさ。俺、安心して帰れるから・・・』 『だから何処に帰るんだよ!言ってる意味が分からないよ!隆史!』 遠くで何か訴えるような音がしている。気が虚ろながらはっきりとしてくる・・・? 目覚ましの音だった・・・。 そうか・・・と言って出かける前に隆史の慰霊の前に座り線香をあげた。あの軽い感じの笑顔がこっちを向いて今にも『オッス!』と言いそうで仕方が無かった。空は雲一つない快晴だった。
|