HERE, NOT SOMEWHERE...Hiroyuki Morikawa

 

 

渡り蟹のパスタと東京タワーの灯り - 2006年10月07日(土)

曲の断片ができる、アレンジする、楽器を録音する、
歌を録音する、ミックス作業をする、
そうした行程のすべてをやり遂げて、
最後にマスタリングスタジオで、マスタリング作業を終え、
作品がとうとう完成する。

マスタリング作業とは、おおまかに説明すると、
CDに収録する1曲1曲の、音量や音圧を揃えて、
曲間の長さを調整する、というような、
まさに最終仕上げの作業です。
この行程を終えると、
それまで自分の頭のなかを常にぐるぐると回り続けていた、
作品制作に対する、様々な思いから解き放たれて、
こころの底から、とうとう完成したんだなぁ、と、
充実感に満たされながらも、ちょっとしんみりした気分になります。

マスタリングの直後は、いつも決まって、そんな心境になるものだから、
その時々の出来事というものは、強く印象に残っています。

前作"eternal gift from the moment"のマスタリングの後は、
スタジオを出た頃には、もうすでに朝日が出ていて、
その光に照らされた、木の葉が風にそっと吹かれて、揺れている、
それだけで、すべてが満たされるような、
そんな情景をはっきりと思い出すことができます。
"silent roar"の時は、夜遅く、誰もいない芝生の公園のベンチで、
完成したての音源をヘッドホンで聴きながら、
星空がどこまでも広がっていくような感覚になったっけ。

そして、今回"oneday"のマスタリングを終えて。
青山にあるスタジオを出たのは、夜10:00くらいで、
その帰り、青山通りのカフェで食べた、
渡り蟹のパスタがおいしかったこと(笑)、
そして、窓越しに見えた、東京タワーの灯りが、
今まで見たことのないくらいに穏やかで優しかったのです。









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