ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




ひと駅ぶん
2002年01月04日(金)
古い知り合いと電車で再会。船橋から西船橋までのひと駅ぶんだけお話した。懐かしいヒトだ。大人の男性、でも、少年のようなヒト。
その男性は、昔私のお友達に本当に恋をしていた。痛々しいくらいに。
年に1度の学会など、大きなお仕事の後にはまっすぐに彼女の働いているお店に顔を出した。あまりに強く恋をしているヒトの目をしていたので、初めて会った時から印象に残った。
終電で帰る友達の姿を、必ずお店が終わった後に踏み切りから見送っていた。京成電車の下り列車。0:10発。「動体視力が上がっちゃったよ。」なんて弱々しく笑う彼の表情は幸せそうだった。
彼は既婚者だったので彼女のファンという以上に踏み込む事はなかったが、その恋は相当に本気だったと思う。
彼女が転職して、お店勤めを辞める時の飲み会で、彼はボロボロに飲んだ。いつものように終電の彼女を見送り、いつまでもいつまでも立ち尽くしていた。その場にいた、誰も言葉はなかった。
あれから、随分時が経った。奥様らしき女性の隣で、私と簡単な会話を交わす彼の目には、私の友達への恋の清い思い出が映っていた。間違いなく。









設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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