現場といっても、私は鉄筋工ではない。
大工でもない。
ましてや道路工事のニーちゃんでもない。
音楽に携わってる者として、コンサート制作や舞台監督を辞めてもうすぐ1年経つ。
アマチュア企画は自分でいろいろやってたけど、初めて大規模なコンサート現場の仕事をもらったのは 2002年サッポロ・ジャズフォレストだった。
担当するアーティストの楽器のセッティングが主な仕事だった。
初めて担当したのは、ドラマーの沼澤尚さんや熱帯ジャズ楽団の神保彰さん。
故・青木智仁さんや小沼ようすけさんも一緒だった。
その後、プリンス マリーナ・ショウ ジミースコット シンディローパー アイズレーブラザーズ エディヒギンズトリオ ジョーサンプル オスカーピーターソン ジェームズブラウン
などの外国人アーティストをはじめ
つのだ☆ひろ 渡辺貞夫 ケイコ・リー 小野りさ 渡辺香津美 塩谷哲 小曽根真 吉田美奈子 寺井尚子 矢野沙織 デパペペ フライドプライド 櫻井哲夫
など、国内で活躍するアーティスト達の北海道公演のステージを創ってきた。
うちのスタッフは私を入れて3名。 たまに臨時のアルバイトを1名入れたり、もぎりには8名の女子をつかってた。
臨機応変に動ける人材ならば少人数でこなせる。 使えない奴はいらないから無駄に人数はいらない。
朝9時、機材を載せたトラックがコンサート会場に着くとすぐに搬入。
PA卓 モニター スピーカー アンプ類 ドラムセットなど、重い機材を迅速かつ慎重に運び次々セッティングしてゆく。
ステージ上は同時進行で照明さんが照明機材をセットしている。
頭上、足元に注意しながらお互いに手伝いあって道具をセット。
演奏できる状態までセットしたら、照明のシュートが始まる。
手の空いてるスタッフは会場入り口でチラシの折込作業にとりかかる。
8種類のチラシを折り込んで2000部とかね。 わお、16000枚?
ヘルプ頼んで5人くらいで3〜4時間ほどで仕上げる。
その間にアーティストが会場に到着、即リハーサル開始。
入場受付のもぎりアルバイトが16時頃に会場入り。
もぎりの注意点と言葉使いに念を押し、全員笑顔で開場。 客入れ。
本番5分前に私は影アナをやる。
1ベルが鳴ると「本日は○○の北海道公演にご来場いただき真にありがとうございます。 開演に先立ちましてお願いがございます。・・・・」 などと、携帯電話の電源をオフにするとか、演奏終了後にサイン会があるとか、本日の演奏曲目とかをアナウンスする。
アナウンスしてる横ではアーティストがスタンバってるので、ステージに出るタイミングのキュー出しをする。
本番が始まると入り口受付に戻りチケット半券の仕分けと集計作業にとりかかる。
演奏終了後、スタッフはステージ機材の撤収作業。
私は来場したお客さんのお見送りをし、ロビー内を片付けてから舞台裏に走りトラックに機材を積み込む。
同時に楽屋も片付ける。
アーティストもホテルに送り、トラックも出て、照明さん、PAさんを見送って、ようやく業務終了。
だいたい夜10時だね。
大雑把に書いたけど、実際は細かい作業もあるし、アーティストサイドと話し合ってるうちにセッティング変更なんてのもしょっちゅうなので、人の出入りや動きも把握しなきゃならないから脳みそフル回転。
某イベンターがアルバイト20人使う作業を、うちらは3〜4人でこなす。
ほんっと、うちの若きスタッフ達は優秀だった。
その優秀なスタッフ達は、現在ミュージシャン、シンガーとして活動している。 本領発揮だね、たのもしいわ。
私の中では、コンサートスタッフも舞台監督も責任は一緒。
どの会場にいっても、ステージセッティング後は必ず客席全部を廻り、どの場所からもベストに見えるような舞台作りをしてきた。
野外フェスの時は特にそうだったね。
ステージ上前方に飾られる花の位置まで厳しく直させたもの。
お花屋さんは花を美しく飾りたい。
私はお客さんにアーティストの手や指の動きまで見てもらいたい。
だから現場でとことん話し合うし手直しも当たり前になる。
実際にお花屋さんに客席に座ってもらって、何がどうマズイのかを理解してもらうんだよね。
設計図ではベストでも、座った人の目線までは計算してないでしょ?
私はそこにこだわる。 常に。
会場の一番後ろの端っことか、一番前とか、センターとか、とにかく客席内をウロウロして立ったり座ったり。
せっかく見に来てもらうんだもの、どんな席にいても来た人全員が元気になって帰ってもらいたいもんね。
そして、最後にお客さんを見送る時、お客さん達が高揚したいい顔してるのが一番嬉しい。
早朝から頑張ってくれたスタッフと飲むお酒もおいしいってもんさ。
今はアマチュアバンドの現場をたまに手伝うけど、それはそれでまた面白い。
やっぱり私は
黒Tシャツにジーンズ 裏が生ゴムのスニーカー 腰にガムテ・ビニテ ポケットにはピック・チューニングキー
で、走り回ってるのが一番おちつくかも。
舞台ソデで腕組みしてふんぞりかえってるタイプのブカンは苦手だわ〜。
実は今日、ブカン(舞台監督)仕事でいつもお世話になってた音響会社の方とバッタリ会ったのだ。
「ブカンやってよ〜、戻ってきてよ〜」と懇願され、ちょいヒサンな現在の状況を教えてもらった。
うむむぅ〜、腕がムズムズするわ〜。
やっぱ私じゃないとダメみたいね。
たまにやりますか、でっかいの。
私でお役に立つなら日程調整もしますわよ。
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