度々旅
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久しぶりに帰ってきた実家で、いつものように父親とケンカ。いつもならば、ここでアパートに帰るのだけれど、パソコンを使ってしなければならないことを考えると、帰るわけにいかないので、じっと耐える。母は今日から旅行。ま、この留守番のために実家にいるわけなのだけれど。実家に住んでいた頃は、ボケ老人を抱え、親戚のことも含め常にケンカが絶えない家で、けれど逃げる場がないあたしは、自分の部屋の壁にマジックで絵など描いてみたりしていた。懐かしい。もしかしたら、あたしにとってあのアパートは逃げ場に他ならないのかもしれないなどとふと思った。 犬と土手へ散歩。知らないうちに、対岸にでっかいマンションが建っていた。夜にも散歩へ行ったら、そのマンションがまるで高層ビルみたいに、赤いランプを灯していて、あまりにも川の風景に不釣合いで悲しくなった。どんどん、大好きなものは変わってしまうんだなぁ。横にいる犬だって、あと数年後にはいないんだよなぁ。 祖父が新しい施設に数日前に移った。前祖母もいたところだ。会いに行ったら、最初こそ「よく来たなー」などとあたしのことを認識できたらしいが、その後はまったくで、わけわかんないことを言っては寝てた。車イスからベッドに移すときに抱えた体は、以前よりも薄っぺらだった。 あたしが、アパートに逃げている間に、見ないふりしていた大好きなものはどんどん消えているような気がした。かといって、帰ってくる気にもなれないのだけれど、あのアパートの部屋を逃げ場ではなく、前へ進む部屋にしないといけないなぁと思った。 土手で、そんなことを考えてたら、ボロボロ涙が出てきたので犬と座りこんで、川を眺めてたら犬の名前を呼ぶ人がいた。振り返ると、自転車の後ろに空き缶が詰まったでっかい袋をくくりつけているおっちゃんだった。どうやら、空き缶回収から帰ってきたらしい。もちろんあたしは知らないおっちゃんなのだけれど、母と犬の普段の散歩の様子が伺えた。うちの犬は土手で嫌われ者なのだけれど、どうやら好きでいてくれる人も多いらしい。
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