子供たちが五月末、日本漢字教育振興会主催の漢字検定を受けた。理人は小学校三年生レベルの8級。清二は一年生レベルの児童漢字検定。
今日、日本から結果が送られてきたらしく、学校から帰るなり、大声で 「ママー、漢字検定、合格したヨー!!!」 とはしゃぎながら、私のいるところまで走ってきた。
「ね、ハムスター、飼ってくれるって約束したよね!」 「うんうん、夏に日本から戻ったらね」 「ね、日本で、毎日二個ずつおもちゃ買ってくれるって言ったよね」 「え?! そんなこと言ったっけ?」 「いったよぉ、わーい、わーい、何買ってもらおっかなー」 「?!!!」
もともと理人は特別漢字が得意な子ではなかった。海外育ちなので、ふんだんな日本語の環境にあるわけではない。 そこで母は、これを機に一念発起し、漢字検定に向けて頑張らせることにした。 先の春休みから、この私が突然教育ママゴンと化し、この検定に向けて少しずつ準備を進めてきた。 毎日ノルマを課したのだけど、一日中遊びに夢中で、なかなか勉強をしようとしない。夜になるとノルマどころではなく、ぐったりしている。
そんな中、毎日少しずつ勉強させるには、馬の鼻先にニンジンをぶら下げるがごとく、合格後のメリットを示さなければならない。 眠い眠いとぐずる理人を相手に、思いつく限りの甘い言葉をかけていたようだ。ママはそのほとんどを全て忘れてしまったけど。子供というものは、そんなでまかせに言った、一言一句ですらはっきりと覚えている。
まずは、二人とも合格して本当に良かった。よく頑張ったと思う。清二はぶっつけ本番だったけど。 実のところ、今日まで心配でしょうがなかったのだ。子供たちにこういう正規の試験を受けさせたのは初めてだったから。今後のちょっとした自信につながってくれればいいなと思う。 理人が二年生のときに、このワルシャワ日本人学校に転入したときの担任の先生にも報告したら、きっと日本で、理人の成長振りを喜んでくださると思う。ここで日本人学校に通うようになって、随分理人も成長した。
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それにしても、日本に行ったらどうなるんだろ。 奴らの買って、買って攻撃にどう応戦していくか。
理人、清二、お金は無限に沸いてくるものではない、ということを日本でとくと教えて進ぜよう。
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