来夢音の日記

2003年07月12日(土) 私物化〜

先日、東京セレソンDXという劇団の「夕」という舞台を見てきました。面白くて、感動して、考えさせられる作品でした。
あらすじは、とある島にある民宿の家族と其処に関わる人達の日常ドラマなのです。不良3兄弟の真中の元弥。隣に済んでいる夕。
夕は元弥が好きだが、元弥は夕の友達が好き。そのために、夕はずっと告白できないまま大人になる。気がつけば、元弥は夕の友達と結婚する事に・・・。夕としては一番二人を祝福してあげたいが、如何しても元弥を諦められない気持ちもあり、複雑な思いになる。そして、
「もっちゃん。式に出られなくてごめんね。私の顔を見たくなったら夕顔を見て思い出してね。」
「なんで、夕顔なんだよ?」
「夕の顔って書くから。」

そう言い残して、服飾デザイナーになっていた夕は披露宴当日にパリへ服のデザインの勉強をするために旅立つ。

しかし元弥は、披露宴のその日に倒れ余命3年と宣告される。式はそのまま中止となる。皆、夕に元弥のことを告げようとしたが「叔母さんが倒れてから、夕は自分のために生きて来れなかったのだから、思いきり自分のために生きるように俺の事は心配させたくない。」と元弥に止められる。それから3年後。元弥は他界する。

元弥の葬式に出るため、夕は帰国する。そして、元弥の家に独りでいると元弥が現れる。
「夕、久しぶり。お前、夕顔の話覚えているか?夕顔は夜になる寸前が一番綺麗だ。」

だけど、それは夢だった。呼びに来た妹に起こされ、夕はがっかるする。
すると、電話が鳴った。妹が出ると「持って出たはずの遺骨が無くなった」とのこと。探すと、家に遺骨は遭った。

「夕顔は夜になる寸前が一番綺麗だ。」

夕は遺骨を見詰めながら夢の言葉を思い出す。そして、時刻は丁度夜になる寸前。
何かに取り憑かれたように夕は全ての窓のすだれを取り払うと其処には一面の夕顔が!!

「もっちゃん、夕に逢いに来てくれたのだね。あれは夢じゃなかったんだね。」

夕は泣きながら、遺骨に向かい今まで言えなかった思いを告げる。

という感じなのですが、もっと沢山思いが詰っていて、泣かずには見られないのですが、この中でパリに旅立つ夕に向かって親友が「思いは伝えなければ伝わらない。伝えないことには何も始まらない。伝えることによって良い事になることもある。伝えることは勇気が要るけど、人なんか関係無い。周りなんか関係無い。大切なのは自分の思いだ。」と言うのですよ。この言葉が凄く痛く感じました。普段から私もそう思ってはいるのです。でも、出来ずに生きています。気がついたら、我慢することを覚えていました。

この台詞を聞いて以来、悩み出しています。自分の思いって何だろう。自分って何だろうと。解っているつもりだったのに、実際は何も解かっていなかった。思いを無いものと扱っていました。御蔭で、自分探しが始まりました。でも、20過ぎたのに自分が自分を解らない事実が凄く悲しいです。

精一杯、生きてきたつもりだったのにな…。




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藍華 葵 [MAIL] [HOMEPAGE]

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