きみはボクらの宝物
小悪魔研究所



 サプライズ!

本日の担当:SHY

 「悪いんだけど、一緒にお出かけしてくれる?」
 いいよ、とSizは答えた。
 その言葉に「仕方ないなぁ」というニュアンスが含まれているのを私は見逃さない。
 車に乗って、走り出す。
 そんな始まりの外出だから、Sizは最初から外様を決め込んでおとなしいものだ。
 どこへ向かうのか、何の用事なのか、確かめようともしなかった。



 Sizが反応したのは葛西臨海公園の観覧車だった。
 夏休みの想い出からそれを引っ張り出し、急に元気になる。
 だが、情報の連鎖はまだまだ甘い。
 「また乗ろうね〜」という展開はあったものの、そこまで。
 観覧車が後ろへ消え去ってからは、また無関係なお喋りに戻ってしまった。



 ナビ上に表示されたディズニーランドのマークに気づいたのは、もう到着する直前だった。
 駐車場の入口で「でぃずに〜らんど〜〜〜?」とめろめろに溶けた風に笑う。
 今日は君のことをびっくりさせてあげたかったんだ、と言葉にはせず私はかわりに彼女に向かって親指を立てて見せた。



 天気は悪かったし、パレードも中止だった。
 だが、Sizはスター・ツアーズを楽しみ(かなり引きつっていたけれど)、スペース・マウンテンを体験し(こっちはもう2度と乗らないと言わんばかりだが)、一番楽しみにしていたミッキーとの握手も実現して(今回は蒸気船ウィリー)、とても満足そうだった。
 自分のためのお土産は毎回風船で、今回もしっかり紐の端を握りしめてパークを後にした。



 翌日。



 Sizが楽しそうにお絵かきをしていた。
 最近は絵を描いて、それに字を書き加えるのが流行りのようだ。
 「楽しかったねー」彼女は鉛筆を走らせながら言う。
 私は完成間近の作品に目を剥いた。

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2004年11月25日(木)
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