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■ エンヤ
enyaの曲の中でも、やっぱりCaribbean Blueが一番好きだ。
どちらかというと単調なメロディー進行、 けれど左から右へ、右から左へと悠々と流れるような旋律と、 とおくで響くバスの低音と、 包みこむような多重声が、 そこに世界を出現させる。
ひろいひろい、どこまでもひらけた海と空の大パノラマに、 切り立ったたかいたかい崖。 陽が高ければ空はどこまでも抜けるコバルトブルーで、 陽が沈んでくれば薄絹を幾重にもひいたようなうすい雲のヴェールが、 淡いオレンジからパステルピンク、ペールラヴェンダーに彩られた空に貴婦人のようにかけられる。
Boreus 北風の神よ … Zephryus 西風の神よ …
と、歌がひとつの神話のようにある種神聖な世界がそこに在る
もっと私が感じた真実に近い表現をしたいのに、しきれないのがいつももどかしい。
enyaを知ったのは、中学のとき友達がenyaのカセットテープを餞別に渡してくれたのがきっかけだった。 初めてOrinoco Flowのストリングスのピチカート(アイリッシュハープ?)前奏を聞いたとき、カセットなのになんて綺麗な音が出るんだろうとまず、その透明感溢れる音に感動した。 次の曲で入っていたCaribbean Blueを聴いて、私の中でも歴史的に本気で好きな曲となった。 その次に入っていた明るくて聴きやすいBook of Daysも、同じぐらい好きになった。拡がりのある美しい声に、ただただひたすら感動した。
その後、怒涛のように私はCDを集めはじめた。 大好きな曲の歌詞は必死に訳した。 当時通っていた英会話学校の授業で、自分の好きな曲を何曲か使って、その曲たちを挿入歌としてひとつの物語を作りなさいという課題があった。 自分で物語を書いて、曲の歌詞を一曲分入れて、物語を書いて、曲の歌詞を入れて…というのを書いたあとは、それを自分で読みあげて曲も途中で一緒に入れて、自分なりのひとつのカセットテープを作る、というやつだ。今思えばなかなか考えられた課題だ。筆記と読解と発音のいい勉強になる。しかも大変だけど、ちょっと楽しい。成果も残る(恥とも言う/笑)。 正直英語のつたない私には、どういう解釈とも取れそうで隠喩に富んでいる非常に詩的なenyaの(正確には歌詞はenyaが書いてるわけではないのだが)歌詞は、話に組み込むのはすごく大変だったが、意地で使った。先生に頼って一緒にあーでもないこーでもないと唸った。何を言おうとしてるのか?何を伝えようとしてるのか?何を表現しようとしてるのか?直訳なんて何の役にもたたなかった。 他の人の曲も使おうと思って、先生に歌詞のことで質問にいったら「もしかしてenya?ああ違うのね、だったらうん、いいわよ(笑)」と笑われた覚えがある。
よく友達で、enyaは癒されるだとか眠くなるだとかヒーリングミュージックだとか言われると、好きになったばかりのころの昔の私は軽く憤慨していたほどだった。 enyaは眠くなるどころか、音、声、メロディー、世界観、すべてがエキサイティングで感動的なほど美しい音楽なのに、どうしてそんな止まった音楽みたいな表現をするの!!と。 癒されるというよりも、イマジネーションが拡がる。興奮する。 enyaの音楽がきっかけで、アイルランドの音楽に興味を持ち始めたんだった。
これだけ好きになれるものに出会えたことを幸せに思う。紹介してくれたあの子には、感謝してもしきれない。 私が大好きだった現代文の先生が、「いい本っていうのは何回でも読めるんだよね」と言っていた。 音楽もたぶん、同じような気がする。 この人の音楽は、たとえ私がいくつになって聴いても、本気で違う世界の夢を見させてくれるような音楽であるような気がする。
2007年01月29日(月)
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