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■ 出生＝おひっこし の妄想
『すみません、現世への引越しをお願いしたいのですが』
「かしこまりました。コースにいくつか種類があります。見積もりをいたしますが、現在お持ちの業<カルマ>はどのくらいかおわかりでしょうか？」
『片手に持てるくらいです。そんなに重くはないみたいです』
「はい、それでは、”らくらくパック”と”ひとりでパック”がございまして、”らくらくパック”には引越し直後72時間の生命の最低限絶対保証と、引越し前の業のまとめ作業、引越し時間の短縮などがオプションでつけることができます。”ひとりでパック”になりますと、業をこちらが持って行くのみとなり、お客様がお一人で引越し中の生命維持を行わなければなりません。
多くは問題ありませんが、万一の場合は保証いたしかねます。
また、引越し時に産道や母体を傷付けないための養護は無料で行っておりますが、引越し先の条件によっては保証されかねます。」
『あ〜、じゃあ、らくらくパックだと、どのくらいのお値段になりますか？』
「それでは、いくつか質問をさせていただきます。引越し先の母体年齢と疾病の有無をお願いします」
『３９歳で、現在疾病はないですがHCV抗原陽性のようです』
「引越しの予定日はいつになりますか」
『５月６日です』
「休み明けとなりますと、現世の都合により緊急引越しが増える可能性もございますので、少しお値段割高となります。また、引っ越し先が危険なためオプション料金が発生いたします。後日見積書をお送りいたしますね」
-後日-
「あっ、見積書が届いた…
えっと、引越し料金は… うわ、”２０００いいこと”か…
手持ちは”１５００いいこと”しかない上に死因と死亡時年齢がちょっとアレだから、かみさまに引越し前に”４００いいこと”引かれちゃうんだよな…
どうしよ… あの親はあきらめてまた次の機会にするか…ほかの子に紹介しよう…
でももう早く産まれないと、もう１００年ぐらい先になっちゃう…
やだやだ、１００年先にあの場所が無事かもわかんないのに、
こんなことならもうちょっと現世で自分にもいいことしてるんだった…」
2011年05月05日(木)
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