ヒビノコト
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家の台所の椅子は、ボロ椅子。
背もたれのところは、木がかけている。
足には黒のマジックで「正田」という文字がうっすら。
それでも可愛い。
捨てられない。
おばあちゃんの大の仲良しの「しょうだのおばちゃん」
からもらったのです。
おばちゃんの農家の家の広い土間にぽつんとあったのを見て、
欲しくてたまらなくなりお願いした椅子。
こんなぼろい椅子が欲しいんかい?
うん。欲しい欲しい。
もらって、洗って、みかん畑で干して、東京まで送りました。
ずいぶんとそれから年月が流れて、椅子はよりいっそうボロくなって、
おばちゃんは亡くなってしまいました。
ボロ椅子は捨てられないけど、もうひとつ椅子が欲しくなって、
ネットオ−クションを見たら、おばちゃんの椅子と同じのが。
もうひとつ同じのが欲しいと思ったけれど、
私には買えない値段(尋常と思えない)にまで、
どんどん上がっていってしまった。
なんだかわけもわからず怖くなる。。
おばちゃんがこの話しを知ったら、びっくりするだろうなぁ。
日射しがまぶしい日に、田舎のみかん畑の木に、
干してかけた小さなボロ椅子。
お金の世界から遠く離れたところにポツンとある、
おばちゃんの椅子。
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