にっき日和
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”廃墟”が静かなブームになっています。
HPはもとより、写真集まで刊行されているのです。
心霊系のTV番組で、
廃墟探検なんかやってたのも影響あるのでしょうか。
気持ちはわかるんですが、
廃墟=幽霊と関連づけてしまうのは少々安易な気がします。
だって、廃墟は「美しい」のですから。
実はわたしも廃墟に魅かれるひとりです。
けれど大人になってから廃墟探検はしていません。
不法侵入で捕まるのは嫌だし、
なにより危険です。←いろんな意味で( ̄ェ ̄;)
小学生の頃、探検ごっこという遊びが大好きでした。
普段の遊びのテリトリーから外れた場所を散策するのです。
とはいえ、このあたりは平凡な田舎町ですから、
大冒険は不可能でしたけど。
なかでも私を魅了したのが、廃墟探検です。
その多くは鍵がかかっていましたが、
まれに侵入可能な物件(?)もあったのです。
わたしとしては工場なんかより、住居跡が好きでした。
かつてそこに人が住んでいた形跡を探すのです。
雑草が生い茂る庭、割れた硝子、
錆びた鍋、時が止まったカレンダー・・・・
古いキャラクター物の玩具が転がっていることもあります。
一歩一歩足を進めると、
舞い上がった埃が陽を浴びてちらちら光ります。
永遠が支配するかのような、音のない空間・・・・
子供心に、なんて魅惑的なんだろうと思いました。
ときにはホームレスのオジサンに怒鳴られて、
ほうほうの体で逃げ帰ることもありましたが、
わたしたちは懲りずにこの遊びを繰り返していました。
しかしこの楽しい遊びも、ついに終止符を打ちました。
お友達がケガをしたからです。
廃材から突き抜けた釘を、思い切り踏み抜いてしまったのでした。
わたしたちは大目玉を食らい、
以後この遊びはご法度となったのです。
朽ちかけた建物や、
散ってゆく花に、
人はなぜ「美しい」と感じるのでしょう。
あのころのわたしは、
無意識にその答えを探していたのだと思います。
ぴょん
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