パンドラの箱
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年に一度の、 大切な、 かけがえのない、 祝うべき日に。
何を贈るべきか、 あれこれと思い悩むのは、 幸せな悩みだった。
例えそれがおざなりに、 祝うためのものだとしても。
その日だけは笑顔で、 その日だけは幸せに、 過ごせたはずの日を。
なぜに今年は。
祝うべき言葉も、 祝うための品も、 何一つ浮かばず。
その日そのものを疎ましく思ってしまうのだろう。
「もともとケーキなんて別に欲しくないんだ」
ケーキが欲しかったのではなかった。 祝う、と言う気持ちをケーキで現したかっただけなのに。
最後の最後に、残されていたはずの絆は、 もう、すでに、 跡形もなく砕かれてしまっているのかもしれない。
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