風にふわりと 〜こころのすきま〜
赤いポストをめがけて行って、 ふと視線を右にそらすとあなたがいた。 二車線の道路をはさんで、 大きなガラスの向こう側。 視力は前より落っこちて、 お月さまはいくつも見えるのに、 何メートルも離れたあなたを、 わたしは見つけることができた。 変わっていなくて泣けてきた。 変わったことがわからない距離に泣けてきた。 いじらしいわたしに泣けてきた。 走って逃げた。 後ろを向いたあなたが、 振り向いて、わたしに気付かないように。 走って逃げた。 後ろを向いたあなたが、 振り向いて、わたしを見ても、 わたしだとわからないように。 走って逃げた。 慣れない靴が痛かった。 2003年04月14日(月)
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