桜桜の花びらを見ていると昔むかしあの時に見たとらわれの心を思い出す桜の木の下に何が眠っているかなんて聴いたこともないけれど、夜の桜の花びらは輪郭をはなって光って蛾のようにおちていくあなたはその袋をたずさえてどこに行くのですか追憶をたどって想い出を配る人のようにあの子からこの子へ見たこともない列車の模型を配って歩くのですねけれど私は白い糸を辿って花ふぶきを歩いているのです幾重にも折り重なって花はこの道をこの街を白く埋めてゆくのですただ白く埋めてゆくのです