きりんの脱臼
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2002年10月06日(日) 村上きわみ

あいさつはしたし雨だし、だいじょうぶ  なかはられいこ

むかしむかし、とある森の奥に「どうしようの人」がひとりで住んでいました。
「どうしようの人」はとてもこわがりなので、四六時中「どうしよう」と考えて
夜も眠れませんでした。
・・・眠っているあいだに空が破れてしまったらどうしよう。
・・・明日の朝、枕元で巨大な栗鼠がじぃっとこっちを見ていたらどうしよう。
「どうしようの人」はどうしようと考えるのが仕事のようなものなので、こんな
ことはいくらでも思いつくのでした。

同じ頃、川のほとりには「だいじょうぶの人」がひとりで暮らしていました。
「だいじょうぶの人」だからといって何事にも確信をもっている、というわけで
はありません。「困ったなぁ、でも、だいじょうぶ(確信はないけど)」という
のが彼の基本スタンスです。まあ、口癖みたいなものです。けれど「だいじょう
ぶの人」はその口癖のおかげで、とりあえず夜はぐっすり眠れるのでした。

と、ここまできて「当然この先ふたりはどこかで出会うんだろう」と思った方に
は申し訳ありませんが、ふたりは一生出会うことなく終わります。
「どうしようの人」は森の奥で、「だいじょうぶの人」は川のほとりで、ふたり
別々に「どうしよう」「だいじょうぶ」と言い続けながら、生涯を終えます。
それだけのお話。教訓もオチもありません。

でも、ちょっとだけ、会わせてみたかったよね。

雨なので ポケットの中のくしゃくしゃのレシートをわたしにくださいな  村上きわみ


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