| これ、松本零士の数ある作品の中でもズバ抜けて好きな短編集。メルヘンな昆虫達の世界に若者の夢や可能性が描かれたりして、恥ずかしくなるほど青くてイイんだ…。いつ読んでもしみじみと胸を打つこの熱さよ。恋愛と夢が等価なあの時期。自分の存在を認められるための必死さ。「寝食を忘れ精魂をかたむけて描いた」っていう、投影された著者自身の青春期こそ、ここまで感情移入できる要因なのかも知れない。中でも、「その日、少年の夢が消えた」ってナレーションで始まる短編。オケラの主人公が美しいウスバカゲロウに恋をし、自らの出自に苦悩する「幻想世界のアム」は出色の出来。キラキラと金色に輝いている。
|
|
|