靖国神社の夜桜能を見た。 幸い天気はよく、ときおり風で桜吹雪が舞う中で 見る能というのは、まことに趣深いものです。 能というのは、かなりの部分が聴衆の想像力に 任されている。 たいした舞台セットも照明もないので、 ことばから、情景を想像しなければならない。 そういう意味で、ふつうの演劇以上に かなり抽象的な芸術である。 たとえ題材が断ち切れない愛であっても、 かなりストイックな感じがする。 遅い夕食をとるため、靖国神社から歌舞伎町まで タクシーで行って、欲望にあふれた街を見たとき、 特にそう思った。
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