![]() |
![]() |
千尋(ちいろ)の闇 上下ロバート・ゴダード 幸田敦子 訳 ゴダードの第一作 やっと読んだ。 つまり、あとの作品から読み始め、第一作を最後まで、とっておいて、最後に一気に読んだのだ。 決して、途中でやめることが出来ない。 ストラドフォードの顔が浮かぶ。 捕らえがたきわが逃亡者よ、私にはあなたの姿が見える。 だが、声を聞くことは出来ない。 あなたの過去への探求の、行き着く先をあの時教えてくれたなら、 私は決して船出したりはしなかった。 それはあなたもわかっている。 あなたの影が・・・・私のたどり着いたその影が、 故国を離れあなたが過ごしたこの場所で、今私を包み込む。 あなたならどうするだろう?いやこたえる必要はない。 ストラドフォードよ、まずは、この本を閉じねばならない。 あなたと私のこの本を閉じ、それとともに、 時を越えた知己たちの世界をも閉じねばならない。 外では夕闇が手招きしている。 あの中へ踏み込んでゆくことは、冒険であるに違いない。 あなたならどうするだろう? いや、こたえる必要はない。もはや、決めるのは私だ。 以上、最後のプロット。 主人公は、元歴史教師マーチン。 ストラドフォードの過去を調べるうちに、抜け出しようのない闇に引き込まれる。 ゴダードの作品は、なぜにこうも、絶望と、悪意、偽りに満ちているのだろう。 しかし、引き込まれてしまうと、もう抜けることは出来ない。 次に読む作品が見つからない。 この世界から抜けることが出来ない。
|
![]() |
![]() |