キッシンジャーの日々
キッシンジャー



 泊まり明け

午前中に目を覚まし、

僕らは外へ出かけた。


京都の初冬は穏やかな日和で

自然と気持ちが高揚した。


大宮まで歩きながら

僕と彼女は

とりとめもない会話を

心ゆくまで楽しんだ。


こんなに心休まる日が

僕に訪れるなんて

考えもしなかった。


…いや、それは違う。


僕は求めていた。

それまで、

どんなに辛いことがあっても

どんなに悲しい日々が続いていても。

こんな、

僕と誰かの

二人だけの時間を。


彼女の微笑みが

僕の心を幸福で満たす。

彼女の声が

僕の心の琴線に触れる。


そうして、僕は

目の前で

豆乳ドーナツを頬張る彼女に

再び恋をする。

2003年12月07日(日)
初日 最新 目次 MAIL