キッシンジャーの日々
キッシンジャー



 似たもの同士

後輩に頼んでいた質問紙が返ってくる

ということだったので、

石橋は瀬川まで向かった。


梅田でボランティアのミーティングをし終わって。


なかなか大変。


でもまあ、なんとかそこまで向かったわけだ。


後輩がやって来て

質問紙を回収。


さくっと帰ろうとした。

でも、僕はそこでつい

立ち話をしたんだ。


その立ち話が

えらく時間のかかるものになってしまった…


聞くところによると

彼女は今、

前の俺

のような生活を営んでいるらしい。


俺は、あまりに分かりすぎてしまう

その生活



彼女の精神状態



戸惑った。


自分がなっているなら、

対処も自分なりにできよう。

しかし、

俺ではない誰かが

今まさに

陥っている。


それは本当に大変なことだ。


でも、

俺から何かしてあげられることは

何もなかった。


ただ、
ひたすら、

自分の体験談を

ほとほとと

語るしかなかった。


語って、

彼女が

もうそれ以上

落ちていかないよう

下から支えてあげるくらいしか

俺にはできなかった。


そうしている間に

彼女が泣き始めた。


まるで

当時の俺の涙を代弁するかのように…


泣け。

泣きたいときに、

泣け。

それで気が収まるなら。


そうすりゃ、

明日は

もちっと

元気になるよ。


さあ、

顔を上げなよ。

月がこんなにも明るい夜なんだし。

月を見上げて

流れる涙を止めようで。


そういって

ハンカチを渡し、

顔を拭かせた。

少しは元気になったみたい。


そうそう、その笑顔でな。

明日からまた、しっかりやんな。

2003年12月09日(火)
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